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声がした方に視線を向ける。
深澤さんも私と同じように視線をゆっくりとそちらに向けた。
「…しょう、た」
そこにいたのは翔太だった。
目が合うと「よっ」と小さく手を挙げ、何か言いたげにこちらに視線を送る。
「深澤さん、っ、今日はありがとうございました！」
もうここで大丈夫です、って口早に言うと、絡んだ指先を解き、翔太のほうへ向かおうとした。
でもそれは深澤さんの手によって止められた。
深澤さんは私の手首をぎゅっと掴むと「大丈夫？」と顔を覗き込む。
その瞳には不安そうな色が滲んでいる。
その不安を解くように「元彼です、あの例の」なんて無理矢理笑ってみたけど、深澤さんの表情は曇ったままだった。
「大丈夫ですから。また連絡しますね」
そう言って、深澤さんの手を丁寧に解いていく。最後の一本の指が離れた瞬間、少しだけ怖くなったのはなぜだろうか。
じゃあ、と手を振ると、深澤さんはなんとも言えない表情でこちらに手を振った。
「誰、あいつ」
翔太に近づくと、翔太は不機嫌なのを隠すこともせずそう言った。
まるで、自分の女なのに何勝手に手出してんだよ、なんて言いたそうなその口調に胸の奥がざわついた。
「別に、翔太には関係ないでしょ」
やましいことなんてひとつもないけど。
でも翔太に深澤さんのことを言う必要もないと思った。
精一杯の抵抗を込めた言葉に翔太は「つめてぇな」なんて自虐的に笑う。
「新しい男？」
「んなわけ、」
「ふーん？それにしてはやけに仲良さそうじゃん？」
「別にどうでもいいでしょ。それよりなに、？」
何もなかったように普通に話をする翔太は何を考えているのだろう。
翔太のことを忘れて前に進もうとしているのに、彼はそれをそう簡単に許してはくれないようだ。
「話があんの」
「…私は話なんかないよ」
今更、話すことなんて何があるの。
翔太が私のことを振ったくせに。
「聞いてくれたっていいじゃん」
「聞く必要ある？」
聞いたら何か楽になれるのだろうか。
聞いたらまた笑えるようになるのだろうか。
「…やり直そうぜ、俺たち」
そう言って、翔太が私のほうへと手を伸ばす。
抱き寄せられそうになる体を慌てて引き離す。
体を離した私に翔太は悲しさと怒りが混ざったような視線を向けた。その視線が何を意味しているのか、わからない。
今の翔太が何を考えているのか、私にはさっぱりわからなかった。
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さーや(プロフ) - 優希さん» すみません💦教えていただきありがとうございます。修正しました。 (2021年10月30日 4時) (
レス) id: 4b2ff4c864 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 28ページが原石のときのまま森本くんの名前が出てしまってます💦 (2021年10月29日 21時) (レス) @page28 id: 4434fac4a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2021年10月26日 21時
