14 ページ15
店員さんがいなくなるとまた静かになった私たちの席。
「すいません、ほんと、」
あとであいつのことシメときます、なんて言うけど深澤さん。
ちょっと本気っぽく聞こえて笑える。
「まぁ深澤さんに泣かされたのは事実なので…」
「ちょっと待って、語弊があるんですけど？！」
深澤さんが急に焦って動くものだからテーブルがガタンと音を上げる。
「あはは、深澤さん慌てすぎ」
この人意外といい人なのかも。
慌てふためく深澤さんの姿に思わず笑うと、深澤さんがこちらをじっと視線を向けた。
「…あの、なにか？」
「あ、いや。Aさん、笑ってるほうがいいな、って」
少しだけ照れくさそう言う深澤さんの言葉に顔が熱くなるのが自分でもよく分かる。
彼氏に振られたばっかりだっていうのに、単純だな、私。
…いや、だってイケメンにそういうこと言われたら、誰だってそうなるじゃんね、なんて誰に向けたかもわからない言い訳。
「…口説かれてます？もしかして」
「弱ってるところにつけ込むほど、ズルくないですよ、俺」
誤魔化すために冗談で言ったのに、それすらスルリと交わされてしまって、なんかちょっと恥ずかしい。
恥ずかしさに余計に顔が熱くなる。
いなくなりたい、この場から。今すぐに。
深澤さんの顔を見ていられなくなって、下を向く。
ぎゅっと握ったスカートのシワが、今の私を表してるみたいだ。
「え、大丈夫ですか、Aさん？！」
テーブル越しに深澤さんの気配が近づいてきたのがわかる。
なかなか顔をあげない私に深澤さんが「本当に大丈夫ですか？」ってまた慌てる声。
「ごめんなさい、だいじょー、」
ぶ、って顔をあげたら、思った以上に近くに深澤さんの顔があって。
目が合うと、お互いそのまま固まって時間が止まったみたいになる。
真っ直ぐ向けられたその瞳の中に私の姿が映っているのが見えた。
「…深澤さん、こわい、」
深澤さんが怖いんじゃない。
その優しさに飲み込まれていきそうな自分が怖い、の間違い。
「え、？」
「イケメン怖い、食べられる」
「ちょっと待って、なんで？！」
飲み込まれないように、流されないように、わざとそんなことを言う私は深澤さんの目にどう映っているのだろう。きっと酷く滑稽だろうな。
まぁ、もう今日が終われば会うことなんてないからどうでもいいか、そんなの。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 376人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - 優希さん» すみません💦教えていただきありがとうございます。修正しました。 (2021年10月30日 4時) (
レス) id: 4b2ff4c864 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 28ページが原石のときのまま森本くんの名前が出てしまってます💦 (2021年10月29日 21時) (レス) @page28 id: 4434fac4a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さーや
| 作成日時：2021年10月26日 21時
