【イナオリ】月の歌姫は世界に行く

排除 ページ43

得点が２−２のまま試合が再開した。


ぺ「ソク！頼むぜ！」


そう言ってペク君はソク君にパスをした。



私はすかさずソク君のマークについたが次の瞬間、目を見開いた。



仲間である、韓国選手がソク君に強いタックルをあびせたのだ。


なので、必然的に私の元にボールが転がってくるのだけれど、私に蹴るという選択はなかった。



それほどに、呆然としていた。


すると、ペク君が「とどめだ」というようにソク君に膝蹴りを食らわせた。


その、攻撃のせいでソク君は意識を失い、退場となった。



灰「仲間同士で潰し合うなんて馬鹿な奴らだ」

ヒ「全くだ」

不「それ、お前らが言うかぁ？」



そんな、会話もずっと遠くで話しているように聞こえた。



貴「邪魔なものは誰これ構わず排除する。か…」



私は誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。


フィールドから担架に乗せられて退場するソク君と、

フィールドの上でニヤニヤ笑っている韓国選手を見比べた。


努力して、その国の代表になれて、とっても嬉しい気持ちになる。





だけど、その嬉しい気持ちを簡単にオリオンによって踏みにじられてしまう。




私は悲しげに、韓国選手と日本の刻印を持つ者に目を向けた。

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