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2002年7月。

「真一郎!」

「A、最近来る回数ますます増えたよな」

「……真一郎に会いたいから」

そう言うと真一郎はなんとも言えない顔をして頬を染めた。

「お前、そういうのどこで覚えてくんの?」

「知らなーい。あ!今日ワカくん来てる」

私はワカくんの傍に駆け寄る。

「こんにちは!」

「久しぶり。髪染めた?」

髪を染めたのもこの時期だった。少しでも大人っぽくなりたくて最初はブラウンに。

「うん!染めた!」

「似合ってんじゃん」

その言葉に嬉しくて、私はワカくんの腕に抱きつく。

「ワカくん好き!ありがとう!」

「俺もすぐ気づいただろ」

真一郎がむくれたようにそう言う。

「ほぼ毎日あってるんだから気づかなかったら可笑しいでしょ」

前までは、私がワカくんに抱きついても、好きって言っても何も言ってこなかったのに、少しは進展したのかななんて思ってしまう。

「……オマエも大変だな」

ワカくんが真一郎の方を見たまま、真一郎に聞こえない声の大きさでそう言う。

「激にぶ鈍感野郎ですから………でも、そんな所が」

好きなんだけど、なんて口に出せずに黙ってしまうと、ワカくんは真一郎から私に視線を移した。

だけど、何かを言ってくるわけでもなく、すぐに真一郎の方に視線を戻した。







帰り道。

真一郎は、私が夜まで店にいる日は家まで送ってくれた。

最初は自転車で送ってくれたんだけど、一緒にいれる時間がかなり短くなる為、私がわがままを言って今では時間に余裕がある時は歩いて送って貰っている。

こっそりと、隣を歩く真一郎の横顔を見る。

「…………」

かっこいい。

真一郎がモテない意味がわからない。まあモテないほうがいいんだけど。

「オマエさ」

しばらくして真一郎が口を開いた。

「俺の事好きなんじゃねぇの?」

急にそんなことを言われて、私は顔が赤くなっていくのを感じる。

「ん"ぐっ!?な、んで…」

驚いて足を止め、真一郎の腕を掴むと、真一郎はこちらを見ようとしない。

だけど、髪の隙間からのぞく耳は赤くなっていた。

「そりゃ、あんだけ熱烈にアピールされたら」

神様、ちゃんと届いていたみたいです。

「……否定しねぇんだ」

真一郎は何かを吐き出すかのようにそう言った。

告白のチャンスは、今だ。

そんなこと一目瞭然だった。

いけ、私。勇気、出さないと。

「……しないよ。だって、私……真一郎のこと、好き……だし」

陸→←肆



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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時

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