肆 ページ6
好きな人が死んだのは、2年前夏。
私が18歳の時だった。
好きな人というのは、万次郎の兄である佐野真一郎だ。
初代
私が9歳の時、不良に絡まれている所を助けてくれて、それからずっと好きで、何とか仲良くなった。
喧嘩にも女にも弱くて、だけど誰よりも大きい彼の背中が大好きだった。
幼いながらに恋をした私は、彼の視界にうつるために必死だった。
恋愛対象として見てもらうのにも7年くらいかかったし。
彼が不良をやめて、バイク屋さんをしてた時も、用事もないのに学校帰りにバイク屋さんに行った。
真一郎は私に良くしてれて、周りも私のことを慕ってくれていたと思うし、万次郎とエマも私のことをお姉ちゃんみたいだと言ってくれた。
幸せだった。真一郎を追いかけていた日々は、毎日が楽しかった。
..。.:.+*:゚+。 .゚・*...。.:
2002年5月。
「真一郎」
「んー?」
バイクをいじる真一郎の横顔を見つめながら、かっこいいな…なんて思ってしまう。
「バイク好き?」
「ああ。でも、お前はバイクに興味無いのによく毎日来るよなー」
お前に会いたいからだよ。
口に出せないから心の中でそう叫ぶ。
「暇だから。ここ楽なんだよね」
「ハハッ、いいぜ。いつでも来いよ」
真一郎はそう言うと私の頭を撫でた。
「……ッ!子供扱いしないでってば!」
赤くなった顔を見られないように下を向いて、真一郎の手を払い除ける。
「何だよ!昔は頭撫でたら嬉しそうにしてたじゃねぇか!」
「小学生の頃の話でしょ!?私もう高校生だから」
ああ、神様。この男はどうしても私を妹のようにしか思ってくれないようです。
「俺からしたらエマと大差ねぇよ」
その言葉にムッとしたと同時に悲しくなってしまう。
このままじゃ、お婆さんになるまで意識なんてして貰えない。
「そんな事ないよ……」
「…え……ガチへこみ?ごめん、泣くなよ」
真一郎は慌てたようにバイクから離れて私の方に向き直る。
「泣いてないよ!真一郎のバカ」
私はそう言って出入口の方まで歩く。
「帰んの?送ってく」
「いらない!すぐそこだし」
真一郎に告られた奴ら全員呪ってやりたいくらいには、真一郎のことが好きだ。
なんで私には告白してくれないのよ……
..。.:.+*:゚+。 .゚・*...。.:
その後くらいから、私は真一郎に真剣にアタックし始めた。
そしてアタックし始めてちょうど2ヶ月が経った時だった。
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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時