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好きな人が死んだのは、2年前夏。

私が18歳の時だった。

好きな人というのは、万次郎の兄である佐野真一郎だ。

初代黒龍(ブラックドラゴン)の総長で、家が近かった。

私が9歳の時、不良に絡まれている所を助けてくれて、それからずっと好きで、何とか仲良くなった。

喧嘩にも女にも弱くて、だけど誰よりも大きい彼の背中が大好きだった。

幼いながらに恋をした私は、彼の視界にうつるために必死だった。

恋愛対象として見てもらうのにも7年くらいかかったし。

彼が不良をやめて、バイク屋さんをしてた時も、用事もないのに学校帰りにバイク屋さんに行った。

真一郎は私に良くしてれて、周りも私のことを慕ってくれていたと思うし、万次郎とエマも私のことをお姉ちゃんみたいだと言ってくれた。

幸せだった。真一郎を追いかけていた日々は、毎日が楽しかった。





..。.:.+*:゚+。 .゚・*...。.:




2002年5月。

「真一郎」

「んー?」

バイクをいじる真一郎の横顔を見つめながら、かっこいいな…なんて思ってしまう。

「バイク好き?」

「ああ。でも、お前はバイクに興味無いのによく毎日来るよなー」

お前に会いたいからだよ。

口に出せないから心の中でそう叫ぶ。

「暇だから。ここ楽なんだよね」

「ハハッ、いいぜ。いつでも来いよ」

真一郎はそう言うと私の頭を撫でた。

「……ッ!子供扱いしないでってば!」

赤くなった顔を見られないように下を向いて、真一郎の手を払い除ける。

「何だよ!昔は頭撫でたら嬉しそうにしてたじゃねぇか!」

「小学生の頃の話でしょ!?私もう高校生だから」

ああ、神様。この男はどうしても私を妹のようにしか思ってくれないようです。

「俺からしたらエマと大差ねぇよ」

その言葉にムッとしたと同時に悲しくなってしまう。

このままじゃ、お婆さんになるまで意識なんてして貰えない。

「そんな事ないよ……」

「…え……ガチへこみ?ごめん、泣くなよ」

真一郎は慌てたようにバイクから離れて私の方に向き直る。

「泣いてないよ!真一郎のバカ」

私はそう言って出入口の方まで歩く。

「帰んの?送ってく」

「いらない!すぐそこだし」

真一郎に告られた奴ら全員呪ってやりたいくらいには、真一郎のことが好きだ。

なんで私には告白してくれないのよ……




..。.:.+*:゚+。 .゚・*...。.:




その後くらいから、私は真一郎に真剣にアタックし始めた。

そしてアタックし始めてちょうど2ヶ月が経った時だった。

伍→←参



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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時

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