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拾壱 ページ13

「そうだろ!?じゃなきゃおかしいだろ!知ってでもいないと助けられる状況じゃなかった!なぁ!?おかしいだろ!!」

「やめろよ!!おかしいのはどっちだよ!?」

オレはアッくんを突き飛ばす。

「アッくんはそんなんじゃない!!アッくんはいつも冷静で…友達のために自分を犠牲にできて…優しくって頼りになって、だから…だから…」

目から大粒の涙が落ちていく。

「そんなの嘘だっ!アッくんがオレを殺すわけがない!!オレの友達だ!!」

「タケミチ…」

アッくんは涙を浮かべて空を見上げた。

「いつからこうなっちまったんだろう?オレは今や、稀咲の兵隊だ」

「稀咲って…"稀咲鉄太"?」

「東卍の奴らはみんな稀咲の言いなり。マイキーくんなんて何年も会ってない」

「今からでも遅くねぇよ!東卍なんてやめちまえよ!!」

「…ハハ、無理だよ。怖ぇんだよ。ただひたすら、稀咲が」

アッくんは震える声でそう言った。

「マイキーくんが変わったのは、ドラケンくんが死んでからだ」

「え?ドラケンが死んだ…?」

「死ぬべき人じゃなかった人が死んで、オレは汚ぇ金ではしゃいでる…オレ憧れてたんだぜ。泣きながら踏ん張るオマエに」

アッくんはそう言い、もう屋上から落下しそうな距離まで歩いた。

「…アッくん?危ねぇよ!下りろよ!」

「……あの人も、姿を消してからどこに行ったのか誰も知らない。マイキーくんも、あの人を探してる」

あの人…?

その言葉にオレは眉を寄せる。

「あの人って一体…」

「がんばれよ、タケミチ。みんなを救ってくれ」

「アッくん!!!!」

「泣き虫のヒーロー…」

アッくんはそう言い残すと、オレの目の前から消えた。

すぐに下を覗いたが、アッくんはもうピクリとも動きはしなかった。










「東卍を凶悪にしたのは稀咲鉄太だ…ナオト…オレはっ…ドラケンもアッくんもヒナも…みんな助けたいんだ!!」

数日後。

またオレたちは、直人の部屋で情報を整理していた。

「はぁ…ドラケンさえ生きてたらな…」

「え?」

オレの言葉に直人が反応する。

「昔の東卍のナンバー2でさ。マイキーくんの1番の理解者って感じで…ドラケンさえ生きてれば、東卍はこんなヤベー組織になってないと思うんだ」

「確かに…東卍の凶悪化の原因"稀咲"がナンバー2になることもない」

ハッとしたようにオレたちは顔を上げる。

「そうだ。ナオト、もう一つ気になることがあんだけど…」

「なんですか?」

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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時

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