玖 ページ11
「オマエが"
「は…はい!」
万次郎はニコッと笑うと足を振り上げ、キヨマサくんの顔面を蹴り飛ばした。
「あが」
私は思わず口に手を当てて驚いてしまう。
バ、バイオレンス……
万次郎は倒れ込みそうになるキヨマサくんの髪の毛を掴むと、そのまま顔をのぞきこんだ。
「誰だオマエ?」
そういった後、もう意識も朦朧としているキヨマサくんを何発かなぐる。
グチャという音に顔を顰めてしまう。
あれは痛い。
「キ…キヨマサ」
ドサ
完全に意識が無くなったキヨマサくんから手を離すと、その顔を踏み付ける万次郎。
「さて。帰ろっか、ケンチン。A」
私は苦笑しながら万次郎のそばに行く。
「"喧嘩賭博"とか下らねー」
「"東卍"の名前落とすようなマネすんなよ」
「アレ、生きてるよね?」
「心配すんなって!当たり前じゃん」
喧嘩は見慣れてるけど、やっぱ痛そう。
「タケミっち!またネ♡」
「テメェらボーっとしてないで解散しろー」
私は敦くんの方に小走りで駆け寄る。
「敦くん、約束、守ったから。バイバイ!」
「あ…Aさん!ありがとうございました」
立ち去ろうとすると、敦くんがそう言った。
「……Aでいいよ。どういたしまして、敦くん。じゃあね」
手を振って慌てて万次郎たちを追いかける。
「待ってよ!普通置いていかないでしょ」
「おせぇんだよ」
「うっさい。敬語使え」
軽口を叩き合いながら歩く。
敦くん、いい子だったな…まぁもう関わることもないと思うし……
*
〈タケミチside〉
2017年。
2度目のタイムリープを終え、俺は現代に戻ってきた。
「いいですか!?そのマイキーは今あらゆる犯罪に手を染めて警察でも手に負えない男ですよ?できることならこの手で殺してやりたい!」
ナオトにマイキーくんの事を話しても、全く信じて貰えない。
「マイキーくんに会おう!マイキーは信用できる人間だ!なんで東卍が変わっちまったのか、マイキーくんの本心を聞きたい。もう1回過去に行く前に確かめておきたいんだ!一緒にマイキーくんを捜してくれ!頼むよナオト!」
そう言うとナオトは了承してくれた。
だけど、今のマイキーくんにはそう簡単に会うことは出来ないらしい。
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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時