316・ ページ16
ーAsideー
すっかり暗くなった空。今日は星に靄がかかって見える。明日はきっと雨。
「東雲」
私を呼ぶ人影。
『磯貝？待っててくれたの？』
「あぁ。さっきまで渚達もいたんだけど…暗くなると危ないだろ？色々」
先に帰ってしまったということだろうか。
『そうだね。行こ』
「え、どこに？」
『どこにって、渚達追いかけるんだよ』
「帰らないの？」
『暗いと色々危ないんでしょ？』
磯貝は「まぁ、そうだな」と頷く。変なやつ。さっき自分で危ないって言ってたのに。
『走るよ』
「えっ！？」
『歩いてたら追いつかないでしょ！』
当たり前すぎてツッコミのもならないようなツッコミを入れる。
『先に帰ってていいよって言いたいところだけど磯貝も1人にすると危なそうだから着いてきて』
「危なそうって……」
雑魚喰種は人間を騙すようなずるい手口が多い。良心を利用して人気のない場所に人間を連れ込み喰らう。
磯貝や渚みたいに良心むき出しで正義感の強い人ほど獲物になる確率が高い。
いつも屋根を飛びながら移動しているため道路を走ると建ち聳える家々の圧迫感がある。
磯貝がいるから屋根も登れないし。本気で走ると磯貝追いつけないだろうし。あ、手引っ張ればいけるかも？
『足だけ動かしてて』
「え？」
手首を掴み85％ほどの本気を出して走る。磯貝は体をそらしながら一生懸命足を動かしていた。
『後ろにそらないで！スピードが落ちる』
「ご、ごめん」
少し体制を整えた磯貝だったがすぐにまた反り返ってしまう。
『あ、発見』
後ろから見ると女子が4人歩いているようにしか見えない。渚ちっちゃいなぁ。
「ねぇ、なんか来るよ」
「え？…ほんとだ」
「何でしょうか…？」
暗い夜道にうっすらと灯る街灯。人間の視力では顔まで認識できないらしい。
「逃げる？？逃げる？逃げよ！！」
「いやぁあ！」
「ちょっと待って！！あれAと磯貝くんじゃない？」
「嘘でしょ」
逃げる体制のまま固まるカエデと愛美。呆れたように笑う莉桜。相変わらずおっとりしている神崎さん。そして苦笑いの渚。
『合流！思ったより距離あいてなくてよかった』
「おつかれさま。磯貝くん大丈夫？」
「あ、ああ。なんとか」
「イノシシかと思ってびっくりしちゃったよ」
『こんな都会にはいないでしょ』
「そっかぁ」と笑うカエデの周りには今日も花が飛んでいる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京喰種」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます！夢主ちゃんの複雑な感情が伝わってよかったです。更新頑張ります！ (2019年5月25日 0時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - part7おめでたうです！ 真相が明らかになっていく...！ 夢主ちゃんの感情がひしひしと...こう、ひしひしと伝わってきて、すごいなぁと思います。eyeさんのペースで更新頑張ってください！ (2019年5月24日 22時) (レス) id: c1e6d1df23 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます！なかなか物語が進まず申し訳ないです…！完結目指して頑張ります！！ (2019年5月20日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - いつも、楽しみに読ませてもらってます！Part7でも、更新頑張って下さい！応援しています！ (2019年5月20日 0時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：eye | 作成日時：2019年5月19日 22時
