2 ページ3
.
…否、待って。
でも此れ、本当に開けても平気なものですか…?
き、危険なものとか、何か飛び出して来るとか…そ、そんな事ないよね?
私に開けて欲しいから出て来たンだよね?私に開けて欲しいからお爺ちゃんが用意したンだよね?……だ、大丈夫だよ…ね?ウン、ダイジョウブ。
鍵穴は無い。
試しに振ったり、無理矢理開けようとしたりしたが開かなかった。
ならば、如何やって開けるのか。
「…真逆、お爺ちゃん…。此処で私に、異能力を使えって…そう、云ってるの…?」
亡くなる前、祖父から受け取った撫子色の光の球。
あの時、私は祖父から異能力を譲渡された。
ならば、本当に祖父の異能力を譲渡されたのなら、私にも同じ異能力が使える筈だ。
祖父が亡くなってから、一度も使おうともしなかった異能力。
今考えてみれば、後悔しないように使うにも、ぶっつけ本番は危険が高い。
試しに、練習すると思えば、イケるのではないか?
…未だ一寸怖いけど、使ってみないと判らない、よね?
うん、何事にも練習とか必要だし…うん。大丈夫。
お爺ちゃんが使っていた処、よく見ていたから。使い方は判る。
後は私がきちんと其の力を使えるか如何か。
謂わば心の持ち様。
落ち着いて行えば、何の心配もない。
初めて異能力を使う。
少し緊張し乍、私はゆっくりと祖父の紡いでいた此の異能力の名前を口にした。
「異能力【惜しみなく愛は奪ふ】__________“開け”」
そう云うと、撫子色の光の文字が私を中心に吹き荒れる。
そして、【開け】と命じた小箱は、誰も何も触れていないのにカタカタと小さく揺れた後、自ら動いた様にぱかりと開いた。
「……きた…。出来た…!!お爺ちゃんと同じ異能力ッ!ちゃんと譲渡されてた!!」
其の日、私はちゃんと失敗せず、無事に異能力を使える事が出来た。
初めてで緊張したが、成功した喜びでぴょんっと其の場で跳ねてしまった。
異能力【惜しみなく愛は奪ふ】
此れは祖父の異能力。
簡単に説明すると、言霊。只一言命令するだけで、其の対象となった物や人は其の命令通りに動く。
どんな物や人でも、此の異能力に命じられれば、逆らう事等出来ない。
使い方を間違えれば、世界を敵に回してしまう程の異能力だ。
「…だけど、お爺ちゃんは…守りたいと思った時にだけ使った」
私も、そんな後悔のない様に…此の力を使いたいと思うンだ。
.
1167人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
?*。?神??*。(プロフ) - 鏡花ちゃん惚れるて…( (4月20日 21時) (レス) @page31 id: 21074ec137 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 神作ですね!これからも更新をお待ちしてます。 (11月8日 13時) (レス) @page31 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 鏡花ちゃん…好き… (10月29日 1時) (レス) @page30 id: be2fe8a188 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 本当に神がかってました、、!投稿大変だと思いますが頑張ってください!🫣💭 (2022年11月27日 18時) (レス) @page29 id: cd0eeb5975 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - 更新をお願い致します!(土下座)楽しみにしてます! (2022年7月8日 23時) (レス) @page28 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サヒア | 作成日時:2019年7月20日 2時