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そんな二人を見た快斗君は、ぽかんとした表情で口を開けた儘、此方を見る。
が。
「…………は?…おい、Aどう言う…」
「あ……わ…」
「お、おい…A?」
「あ…あばばばばば…」
「ちょ、Aーーッ!?人語を喋れよせめて!」
私はスッと急激に下がった熱があった筈の頬を抑え、其の場で謎の奇声を発した。
そんな私を見た快斗君は「大丈夫かよ!」と焦り、そんな私を見た太宰さんは案の定「ブフッ」と吹き出し、そんな私を見た中也さんは「驚かし過ぎたか…」と苦笑いをしていた。
そして二人の周りに集まっていた女の子達が、名前を呼ばれた私の方にバッと一斉に振り返る。
先程迄二人に向けられていた視線が此方に移り、視線の刃となって私を襲う。
一斉に何十人もの視線を集中して向けられ、私は思わず「ヒッ!?」と奇声を発した。心の中でも同じく。
ヒッ!?
こ怖…怖い怖過ぎますからァ…!!そんな射貫く様な目で見ないで呉れません!?
ちっ違いますよ女子達さん!
わ、私は只の知り合いで…と云うか知り合いになったのも隊此の間の話なんですけどもね!?
実は訳あって、同じ家で一緒に暮らしてるンです。
……とは絶対云えません!!無理です!!
修羅場…修羅場になってしまう。私悪くないのに、無実、無実なのにィぃいい!
顔を真っ青にし、ブルブルと震える私にお構いなく、二人は此方にスタスタと近付いて来た。
「ご、御免ね…ブフッ!わ、私達一応護衛だしね…ンフッ」
「おい太宰、話すか笑うかの何方かにしろや。A、急に来て悪りィな。此奴が云う通り俺達はAの護衛で此処に来てンだ。送り迎えくらいしなきゃ護衛の意味ねェだろ?」
「だ、だからって…ここんな…ッ!」
「は?護衛?Aの?」
快斗君の一言でハッとする。
そうだ、今迄只の女子高生に行き成り護衛なんかが付くとは信じ難い事だろう。
私自身実感がまるで無い。
今の此れも護衛と云うものが私にはあまり感じられなかった。
だが、二人と昨日から一緒に住む事になったのは紛れも無い事実。
此の説明を如何すれば佳いものか。
兎に角、同居している事は云いたく無い。
護衛についても何とか誤魔化したい。
と、取り敢えず今は……ッ!
「え?」
「お?」
「さ…さよならですゥゥうううう!!!」
元凶の二人の手を引いて、私は其の場から脱出すべく、全力疾走した。
…明日学校行けるカナ。
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?*。?神??*。(プロフ) - 鏡花ちゃん惚れるて…( (4月20日 21時) (レス) @page31 id: 21074ec137 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 神作ですね!これからも更新をお待ちしてます。 (11月8日 13時) (レス) @page31 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 鏡花ちゃん…好き… (10月29日 1時) (レス) @page30 id: be2fe8a188 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 本当に神がかってました、、!投稿大変だと思いますが頑張ってください!🫣💭 (2022年11月27日 18時) (レス) @page29 id: cd0eeb5975 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - 更新をお願い致します!(土下座)楽しみにしてます! (2022年7月8日 23時) (レス) @page28 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2019年7月20日 2時