29話 黄色いヒーロー ページ32
「いけ千切!」
潔はボールを千切に渡す。考えてることは一緒らしい。
サイドの裏にロングパス。それに追いつくのはきっと千切と斬鉄君だけ。
千切のスピードの特性は、トップスプリントが速い。つまり中距離でないとその味を活かせない。
対して斬鉄君は初速とその加速は速い。だから短距離でその味が活きる。
でも今のボールは距離が足りない。もっと遠くでないと千切が初速で負ける。
やっぱり千切は負けてしまいそのまま斬鉄君が決めてしまった。
「あー惜しかったねぇ。千切君?だっけ。あとちょっと遠くだったら勝てたかもしれないけどさ」
日向さんも解ってる。でもみんなはそれに気づけてない?
みんな表情が曇ってる。あげられるアドバイスはある。でも多すぎて一言では言えない。
そんな中、廻だけはワクワクした顔でチームVを見つめている。
「廻!あのね...」
せめてもの思いで廻に鼓舞する。
「ここで廻が活躍できたら、チームZは蘇るよ。がんばれ!」
「なにそれ、そんなの俺ヒーローじゃん!俺ワックワクしてきた!」
プレッシャーにならないかなって心配だったけどそんな心配はいらなかったみたい。
「潔!ヘイパス!」
キックオフで潔にボールを渡し、そのまま返すように求める。潔が困惑した表情。それと対照的に廻は楽しそうなエゴ全開の表情。
目の前には玲王君。でも超速シザースで駆け抜ける。
次は斬鉄君。こっちは空中エラシコで抜く。
「うわっ。すっご!あれやってみたいな」
「その感想が出てくるあたり、なんか成長してるねAちゃん」
廻はそのままするすると相手DFを搔い潜る。そしてGKと一対一。
「いける!」「ボン!」
声が重なって、廻は見事に1点を決めた。
「すっごいじゃん!まじでやったね廻ー!」
遠くから送る声援に廻はピースで返事をする。
次はチームVから試合が始まる。玲王君の独り言に耳を向けると、どうやらサッカー歴は半年らしい。
そんな彼だけどサッカーは超上手い。だから抑え込むには2人必要
そこで体格のいい雷市くんと潔で追い込む。雷市くんは不服そうだけど折れてくれた。
それでも玲王君は止まらず、斬鉄君にボールが行く。
そこで千切が行き、スピードスター勝負になった。運よく今回のボールは少し遠目。頑張れば追いつく距離。
千切が追いついてパスが逸れた。それでも凪君は打とうとするけどイガグリがナイス顔面ブロック。
そこからは廻のボール。
でも次は一人じゃない。
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時