23話 そうはならんやろがい! ページ26
「あっねぇねぇ御影くんに凪くん!頼み事いいかな」
「はい?なんでしょう」
「若瀬さんさ、今ちょっと負傷してて。一人では歩けないっぽいから部屋まで連れて行ってあげれないかな」
二寧坂さんの横から顔を出すと、二人とも快くOKしてくれた。優しい。
「次はどうしたんだよ、今日怪我しっぱなしだな。お前」
慰めるように玲王くんが言う。今回の負傷について話すとさらに心配された。
そしてすかさずおぶられる。凪くんは着いてきてる。
普段から鍛えてるのがわかるくらいガッチリした体におぶられ、ちょっとドキドキしてしまうが、すぐに痛みで意識が変わる。
「よし、ついたぞ。体大事にな」
そう言われ、二人は帰っていった。自動でドアが開き、チームZのメンバーが見える。
久遠君も見えたけど、あいにく説教の気分ではない。
「若瀬っ、どうした?」
「あ、あはは...次はお腹殴られちゃいました...」
すかさず、何人かが駆け寄る。ペンギンみたいにぺたぺたとゆっくりしか歩けない。
誰かの布団かは分からない。けど、申し訳ないけどそこに倒れ込んだ
「ちょ!大丈夫...じゃないね!どうしよう」
蜂楽のだったみたい。どうしよう。もう立てないや。
「ごめん...今日一緒寝ていいかな。もう立てない」
「いいけど...お腹当たったらごめんね」
全員が布団に入った。ちなみに自分は一つの布団に二人が入ってるからあったかい。
痛みは引いてきたけど、さっきまであったせいで目が冴えて寝付けない。どうしよう
「ねぇ、蜂楽。起きてる?」
「起きてるよ。若瀬ちゃんも眠れない?」
「うん...さっきまで痛かったからね。」
夜目が効いて、暗くても表情までは見えないけどなんとなくは見える。
目の前には蜂楽の背中が見える。背が自分より高いから大きく見える。
安心しきってしまったせいで、無意識に抱き着いてしまった。
感じる体温が布団で保温されてずっとあったかい。
「わっ、ど、どうしたの」
驚いた様子で蜂楽が寝返りを打つ。次は蜂楽の胸の中にいる。
「ごめん。安心しちゃって、つい」
今日のことを思い出して、また泣きそうになる。そのせいで少し声が掠れ、裏返る。
涙がポロポロと流れてくる。起こしちゃいけないから、胸を借りてひっそりと泣く。
「今日若瀬ちゃん大活躍だったもんね。でも無理しすぎだよ。」
優しい手つきで頭を撫でられながら言葉を掛けられる。
それがまた拍車をかけ、涙が止まらなくなる
「ありがと、廻」
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時