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悲しくなったタイミングでちょうどよく料理が到着する。「はい」と渡されたスプーンを受け取って、なんでもないように「いただきます」と食べ始めた樹に続いて挨拶をして食べ始める。
いい匂いはするし、おいしいし。ちょっとだけ、元気が出た。
樹「俺さ、詳しいこと全部聞きだそうとしてるわけじゃねぇの」
パスタをくるくる巻き付けながら樹が言う。
樹「きょもになんで機嫌が悪いか聞いても“別になんでもない”しか言わないから、A関係かってことだけ確かめたかった。それだけ」
でっかい口を開けて巻き付けたパスタを口に入れる。早く呑み込んでその先を言おう。とする感じがないし、そこで伝えたいことは終わりというか、確かめられればそれでいいというのは本当なのだろう。
そうはいってくれるけど、気にしてくれていることも確かだろう。
目の前のオムライスをつつきながら、迷惑をかけている分、と少しだけ口を開いた。
「…詳しくは言えないんだよ。内容。…あー…でも、うん。すぐにわかると思う。だからさ、予定なかったら次の次のライブ、来てよ」
樹「ライブ？」
「そ。大我に聞けばわかるから。次の次、ね」
樹「…わかっ、た」
「そこで全部わかると思うから。…ここまでいえばなんとなくわかると思うけど、バンド関係なんだよ。ケンカの内容」
樹「あー……そりゃきょもも機嫌悪くなるか。」
「そ。…私も今回で大我がどんくらい真面目にやっててくれたか分かった」
大我の近くにいる人だから。大我がどれくらいバンドのことを思ってたか、メンバーじゃなくても分かっていたのだと思う。濁しに濁して言っても納得の言ったような顔をする樹はどこまでわかっているのだろう。
樹「Aさっきさ、一方的に自分が悪いって言ったけど、大丈夫？ため込んでない？」
「…？」
樹「なんつーの？こう、一方的に悪いって思って後悔してるんでしょ？それ、どっかで喋れてる？一人で溜め混んでるとしたらしんどくない？」
「…わー、意外。優しいのね」
言葉を選びながら何気ない感じで普通の事のように私の心配をしてくれることに驚いて、ちょっと冗談めかした言い方をしてしまう。「確かめたかっただけ」って言ってたくせに。
樹「ま、俺優しーんで。それにデートだし、いいとこ見せないと」
「まだその設定生きてたのね…」
樹「設定とか言うな。で、大丈夫？詳しくじゃなくても聞くことはできるよ？」
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
