sound 2 (ページ32)

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　待ち合わせ場所に行けばもうすでに樹はいた。いつも通りのゆるっとした恰好で、ちょっとちゃんとした格好にしたことを少し後悔。

樹「かわいーカッコしてんね」
　「そっちはいつもと変わらないね。デートなんじゃないの？」
樹「あんまりカッコよくして来たら困っちゃうでしょ？」
　「…どうしよう、本当にうざいって思っちゃった」
樹「ひでー！」

　もう私の小さな声に慣れてくれたようで、周りに人がいる外でも聞き逃すことなく対応してくれる。それは助かるけど本当にうざい。

　とりあえず座って話せるところに行こう、それに時間も時間だしお腹すいてるよね？ということで近くのファミレスに入る。

　デートという名称にしてきたのは樹の方なのに、服装はいつもと変わりないし、行くところも特におしゃれではない感じ。なんというか、適当というか詰めが甘いというか…。なんか、気が抜ける。

　席に座って適当に注文をして、他愛もない話をする…訳はなく、注文が済んで、ドリンクバーから飲み物を持ってきてすぐに樹がテーブルに肘をついて少し私との距離を詰める。

樹「きょもとケンカしてるっしょ？」
　「ケンカ…してる」

　「いや、喧嘩してるというか、私が一方的に悪いんだけど…」

　やっぱりこの話か。と思った。

　予想は出来ていた。今の私と大我の状況なんて、近しい人には伝わってるだろうし、多分だけど大我、普段から機嫌悪くなってるだろう。そういうやつだし。それを見てれば友達ならわかるだろう。

樹「いやね、きょも最近ずっとなんかイライラしててさー。なにしたの？って聞いてもぜーんぜん教えてくんねぇの」

樹「でも、そうなってんのって決まってライブの後とか、バンドの練習って言ってた日の前後なんだよね。ってことはA関わってるかなーって思って」

樹「…きょもってさ、気分屋じゃん？そのせいですげー唐突に何か言い出したり、急に機嫌悪くしたりするでしょ？…そーゆーとこあるし一方的に悪いことはないんじゃない？」

　「そう言う訳でもないんだよ」って言いたいけどうまく言葉にできない。なんというか、ちょっとだけ悲しくて。練習前後とか、ライブの日とか。イライラしてたんでしょ？それってその度あの言い合いを思い出して苛立ってたってことじゃん。

　時間に解決してもらおうと思ってたわけじゃないけど、そんなにも収まらないものかと。収まらないくらい怒らせてしまっていたと知って悲しくなった。