sound 2 (ページ31)

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樹「前も言ったじゃん？こうやって話すようになる前からAのことは綺麗だなーと思ってたし、デート、したいなーって」
　「デートって名称どうにかなんない？」
樹「えーずっと思ってたもんなー。デートしてちゃんと話してみたいなって」

　
　デートって名称もなんか気に食わないし、今はそんなことをしている暇はないって思ったから断ろうと思った。

　でも、「ちゃんと話してみたい」なんかそこが引っかかった。

　声をあんまり使いたくなくて、普段は筆談をしているっていうのも知ってるはずなのに、今、「話したい」って理由をつけてくる。絶対訳がある。

　「いいよ。デート。」
樹「え！？マジで？デートでいいの？」
　「そっちがデートって言ってきた」
樹「そうだけどさぁ」

　やっぱり。「デート」が目的じゃないじゃん。

樹「ん－…なら、明日。空いてる？」
　「空いてる」
樹「明日でもいい？少しでも早い方いいかと思って」
　「午後ならいい。朝起きれる自信ないし」
樹「俺も。なら、詳しいことは連絡するから」
　「分かった」

　やっぱりデートは目的ではなかったし、早い方がいいような話題なのだということだけは理解して、前にジェシーに勢いで交換させられた連絡先に連絡が来ることにも了承をする。

　約束を取り付ければそれでよかったのか、さっさと商品をもって出て行く樹を見送った。

　そして今日。連絡が来ていた時間に合わせて起きて、「デート」なんて変な言い回しで誘ってきたことだし、ちょっとだけ気合を入れてやるか、と化粧もちゃんとしたし服も北斗くんの言うようにおしゃれをした。なんてったってデートだしね。

　『私もよくわかんないけど、今日、樹とデートなの』
北「デート！？」
　『デートって誘われたもの。どうせ適当言ってるだけだと思うけどね』

　本当の目的はなんとなく分かってるけどその内容までは分からないから、濁しながら「デート」ってことを伝えれば思ってた以上にいい反応をしてくれる北斗くん。それが面白くて笑ってしまう。

北「まぁ、樹のことだし。…楽しんでおいで」
　『ママみたい』
北「誰がママだ」

　私よりも樹との付き合いが長い北斗くんだし、なんとなく、わかってんだろうな。デートという名目の別の物ってこと。

　北斗くんに手を振りながらレジに向かって会計をする。喉に効くのど飴も買った。よくわからないけど、多分今から大事な話。ちゃんと、聞いてこよう。