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優吾くんが「いいのいいの。気にしないで」って言ってくれるその優しさにまた甘えて「ありがと」とだけ言って、淡々とレジを進める。優吾くんも深く聞いてこないでいてくれる。この感じがやっぱり心地いい。
高「…頑張ったみたいだし、今度、また乗せるよ。後ろ」
「あー…お願い、してたよね」
「大我に話したらまた」といっていたのは私もしっかり覚えてた。でも、まだ、そこまで優しくしてもらっていいような状況じゃない、気がする。ここまで甘えてて言うのもなんだが、これ以上甘えられないし。
「話はした。けど、喧嘩は悪化した…みたいな。まだ、解決はしてないから…ちゃんと全部落ち着いたら…その時、お願いしたい。」
「ワガママなお願い…かもしれないけど」
レジ袋を優吾くんの方に渡しながら言えば、優し気な目のまま少しだけ困ったような顔をして「うん。」と一言。
高「ワガママでもなんでもないよ。ちゃんと全部収まってからってことね。待ってる」
高「こんなことで頑張ろうと思ってくれるならいくらでも」
袋を受け取ってあの、マイナスイオンが発されてるみたいな笑顔とやわらかい声で言う。やっぱりそれにひどく安心する。
「ありがと」
高「いーえ。今日は？もうすぐ終わるの？」
「まぁ…もうちょっと？」
高「そっか。残りも頑張ってね」
「ありがとうございました」
言い残すようにエールをくれて、あっさりと帰っていく背中に店員としての言葉を投げる。私がバイト中というのも分かってくれて、すでにバイト中に泣いたりして時間を使ってしまったことを後悔してるのも察したうえでの、あのあっさりとした帰り方ならば、しっかりとした人というか、周りの見える人過ぎて、本当にちゃんとした人なんだなと思う。
まだ、自分が大我に投げてしまった言葉や、怒鳴りあいをしてしまったことの後悔とか。自分の喉の調子がまたおかしくなってきていることとか自分の決断に対する揺らぎとか。いろんなものが身体の中でぐるぐるしている。
鼻から大きく息を吸って吐いてもすっきりしたような感覚はない。
でも、ちょっとだけのやる気は出てきた気がする。
ちゃんと大我と落ち着いて話すことも、全力を出すライブも、その為の喉のいたわりも。一個一個、ちゃんとやろうと、少しだけ思えるようになった。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
