22話 ページ23
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しばらくの無言が続き、私は家族を殺した相塚が憎く睨んだ。
「睨んだって無駄ですよ。
今のあなたじゃ何も出来ない、片足を負傷していますしね…。
一層の事、もう片方撃って差し上げましょうか。」
あの無表情からは考えもつかないような妖面かつ冷徹な表情が私の胸を貫いた。
まるでこの場を楽しみにしているかのようにも思えた。
『なんでッ、家族を殺したの?
貴女の不正一つだけで家族をバラバラにして許されるとでも_____。』
バァンッ_____
天井に一つの穴が一瞬にして開いた。
シュー、と焼ける音が現実を突きつけた。
「黙れ、…私はあんた達にずっと前から家族を奪われてるのに…!!」
ガッと首を掴まれ彼女の細い腕からとは思えないほどの強い力が込められた。
苦しくなるのは当たり前だ。
『や…めッ…ゔぁッ…!』
「ねぇ、なんで貴女がのうのうと生きてるの?
いつもそう、貴女も貴女のお姉さんも私の立場を…居場所を奪おうとする。
私が血濡れになってようやく中原様の幹部補佐候補に選ばれたのに…貴女のお姉さんは簡単に私から奪った!
今度は何?中原様の奥様?
_____ふざけるのもいい加減にして!
中原様にあんな失礼な態度をとって」
ボロボロと涙が相塚の目からこぼれ落ちた
尊敬する上司の敬意、忠誠。
憎んでいる私への、狂気、憤怒
それらが混ざり一つの雫となって落ちていった。
首を絞められ朦朧とする意識の中
私は名前を呼んだ。
" 中原さん "
その一言にありったけの希望を託した。
死にたくない。まだ私は貴方に聞きたいことがあるから
「ヤメロ。」
カチャリと後ろから金属音がした。
タバコの香りがほのかに鼻に届いて彼だと悟った。
『…中原…さ…ん。』
「…随分早いお帰りですね中原様。
どうぞ、処分したいのであれば遠慮なく撃ってください。
貴方様の手で死を下してくださるのなら私は果報者です。」
相塚は諦めたように嘲笑って涙を拭いた。
中原さんは撃たず、胸元から山吹色のリボンを取り出した。
そのリボンに見覚えがあった。
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猫桜 - 更新、待ってます! (2018年7月26日 10時) (レス) id: e6d0a47f92 (このIDを非表示/違反報告)
誘宵(プロフ) - つづきが気になります!頑張ってください(>_<) (2018年2月13日 0時) (レス) id: 5537d07d79 (このIDを非表示/違反報告)
埃 - 続きが気になって仕方がないです!更新頑張って下さい! (2017年11月27日 22時) (レス) id: 7d7c78c9aa (このIDを非表示/違反報告)
夜蜜姫(プロフ) - 更新して欲しいです。お願いします。 (2017年9月27日 17時) (レス) id: e230e4a314 (このIDを非表示/違反報告)
ももニャン(プロフ) - 初恋抹茶さん» 更新待ってます! (2017年8月23日 2時) (レス) id: 122e18d340 (このIDを非表示/違反報告)
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