テレパシー少女は夢をみる【轟焦凍】 (ページ41)

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No.41 ページ41

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私は何故か押し倒されていた。

知らない部屋、知らないベッド、知らない匂い。

目の前には息を荒くする神崎の姿があり、両手首を掴まれていた。何故か個性は発動しなかったけれど、代わりに言葉にならないくらいの恐怖で息すらまともに出来ない。

「あぁ、なんて美しいんだろう。ほら力緩めて…俺が君を気持ちよくさせてやろう」

『いやっ…やめて！！！』

抵抗しても男の力に敵うわけなどない。どんどん近づく唇に血の気が引いていったその時、視界が真っ白に変わった。

『っ！？はぁっ…はぁっ…。なんだ、夢だったの……最悪すぎる』

飛び起きて周りを見渡せば、いつもの自室。誰もいないことに安心すると、うなされたせいか喉が渇ききっていて、キリキリと痛みを訴えていた。

それに心なしか身体もだるく、頭もぼんやりとしていて久々のこの感覚に嫌な予感がする。

『うわ、熱ある…ていうか一日過ぎてるじゃん。無断欠席しちゃった…』

水を飲んだ後に確認して分かった事実。どうやらパーティーから帰った後、夢を見ながらも死んだように丸一日眠りにつき、目が覚めたら熱が出ていたらしい。

もう身体も心も疲れきった私は、無性に泣きたくなって布団に潜り込んだ。でもいくら涙を流しても負ってしまった傷は消えない。

轟くんに会いたいと思っても、昨日会った八百万のことを思い出して、何も出来なくなる。

私は、また独りぼっちになってしまったんだ。

『轟くんの…嘘つきっ…！』

一人にしないって約束したくせに。いくら気になる人が出来たからといって、それはあんまりじゃないか。