No.21 ページ21
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昨日、ドライヤーで髪を乾かしてもらった後。
轟くんは優しく私に言ってくれた。どんな個性でも私は私だって。だから私から離れることはあり得ないって。
私は多分、この言葉をずっと待っていたのだと思う。何があっても離れないという安心する言葉が。
さっきまでドライヤーの音に紛れて、納得するまで泣いたはずなのに、また涙が出そうになってきた。
まぁ、久々に泣けてスッキリしたから良かったのだけれど。
『あー来ちゃった。絶対に関わらないって思ってたのに…。いや、関わるのは轟くんだけ。それ以外の人はまだ信用出来ないし、うん』
そうぶつぶつ呟く私の前には、何度見ても見慣れない大きなドア。1-Aの教室の入り口だ。
もうホームルームは終わっているはずだし、少しだけ開けて覗けば轟くんの場所は分かるはず。
運良ければ気づいてもらえるし、無理なら彼が出てくるまで隠れて待っていよう。
そういう算段でいこうと意気込みながらドアに手をかけると、力を入れていないはずなのに勝手にドアが横にずれていく。
『ぎゃっ！？』
「うおっ！？びっくりしたー！」
転びそうになったのを何とか立て直すものの、目の前には金髪のいかにもチャラそうな男子が。
自分でも一気に顔が引きつったのが分かる。
「ごめんなー大丈夫？」
『え、と……』
「にしても見ない顔だよな？どこのクラス？誰かに用事？」
『いや、その…』
馴れ馴れしいにも程がある。やっぱり何故ヒーロー科はこんなにもフレンドリーなんだろう。私には理解出来ない。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
