No.15 ページ15
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「ここでナンパなんざ、するもんじゃねぇぞ」
「…誰かな？君は」
『え…』
伸びてきた手を阻止したもう一つの手。
それは最近見ていなかった轟くんの手だった。
「別に名乗るほどの者じゃねぇ」
「へぇ？なら、邪魔しないでくれるかな？今からそこの彼女とデートなんだよ」
「そうか。ならその前に俺が止めてやる」
火花を散らしながらも、轟くんはさり気なく私を背中に隠す。その優しさに、どこかホッとしたのは絶対に認めない。
「何、個性でも使う気？それは禁止されてるはずだけどなぁ」
「見たところ、あんたの個性は女子を自分のモノにするとかなんじゃねぇか？んで、それは動物にも使える」
男の挑発に乗ることなく、轟くんは男の個性を分析した。そしてそれを聞いた男はひとしきり笑った後、当たりさ、と言い轟くんに掴まれている腕を引き抜こうとする。
「…何のつもり？」
「もし今すぐ立ち去らねぇのなら、あんたを凍らす。これは正当防衛だ」
いくら相手が先に個性を使おうとしていたって、そんなの…そう思っていた私だけれど、男の顔を見てみると、青ざめた顔をしていた。
そして、分かったから！と必死の抵抗を見せた男は、下手な笑みを浮かべて走り去って行く。
『…何したの？』
「…何もしてねぇ」
『いや、絶対したでしょ』
立ち上がってチラリと覗けば、微かに冷気を漂わせる右手。私はため息を吐いて、彼に背を向けた。
『別に…私一人で、どうにか出来てた』
「そうか？俺には助けを求めてるように見えたけどな」
『馬鹿言わないで！！』
ふざけないでよ…。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
