No.02 ページ2
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桜の花びらが舞い散る通学路の途中。
私は深い溜め息を吐いて、公園の花壇の近くに座り込んでいた。
『無理……お腹痛い…』
今日は高校の入学式、すなわち高校生活初日の朝というわけだけど、小学校の途中から中学三年までほぼ不登校だった私は、久しぶりの学校に緊張していた。
そんな時に現れた一匹の猫。
動物好きな上に、一番好きな動物が猫な私にとって、その子の登場はまさに天使が舞い降りる程のレベル。
恐る恐るその子の顎を撫でてみると、にゃあ、とひと鳴きした後、私の足に擦り寄ってもっと撫でてとねだってきた。
『可愛いね。君も一人なの？…私と同じだね』
「ゴロゴロ……」
『ふふ、甘えん坊さん。これからよろしくね。……なんでここにいるのかって？あのね、学校に行くのに勇気がなくてさ…ここにいても良いかな？』
もう家から出ただけでも偉いと思う。だから今日はここまででいいよね…なんて甘い考えを持ち始めた私は、猫の頭を撫でて自分の膝に顔を埋めた。
「猫、好きなのか？」
そんな時、背後から聞こえた低い声。明らかに私に話しかけている内容に、肩をビクつかせ全身が固まった。
「あんた雄英の生徒だろ。こんなとこに居たら遅刻するぞ」
声が出ない。身体が恐怖に覆われて振り返ることすら出来ない。おい、と再度話しかけられる中で目の前にいる猫は呑気に首を傾げている。
どうしよう、どうしよう…と頭をフル回転させていると、猫は私を置いてどこかに歩き出す。
『あ…』
私を置いていかないで…！と行き先を目で追うと、猫は声の主の足元に擦り寄っていた。
「お」
『っ…！』
ゆっくり顔を見上げると、穏やかな笑みを浮かべる男の子がいた。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
