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百四 ページ29

Aは銀時に頼まれたように、黒服として働いていた。
女性客が酒で潰れた時の介抱や、客同士での喧嘩の仲裁等、同性であるが故の対応を好まれていた。
中には、


「Aさんとお酒飲んでみたいな」


と声を上げる女性客もいて。
Aは客からもスタッフからも信頼が厚かった。

その信頼から、物を頼まれることもしばしばで。


「Aさん、すみません。足りない材料があるから買ってきてもらってもいい?」


「分かりました、行ってきます」


手渡されたメモを手に、店を出た。

買い物を終え、店を出る。
それと同時に、隣の飲食店の扉も開いて。



「…あ」


「A」


腹を撫でながら、Aを見る男。









「神威…アンタ」



Aは咄嗟に男の腕を掴む。
男は逃げようともせずに、真っ直ぐAを見たまま。



「警察の人が探してるよ」


「そうみたいだね」


「今から彼らに連絡しようか?ここに来いって」



Aの脅しに、神威は静かに笑う。
それは少しだけ寂しそうだった。
そして口を開く。



「A、少しだけ話したいんだ」


「貴方、もう私に近づかないんじゃなかったの」


「偶々と言えど、こうやって好きだった女と会ったら、話したくなったんだ」



頼むよ、と神威は言う。
その顔に、嘘があるようには思えなかった。



「…私、まだ仕事があるの。もうちょっと待って」


「分かった。その頃に迎えに行くから」



神威はとぼとぼとAの後ろをついてくる。
振り向くも、傘でその顔は見えない。

(突然なんなのよ)

急な出来事に、驚きつつも平静を装った。

きらびやかな店につき、神威は立ち止まる。


「またここで」


手を一度だけ振り、くるりと背中を見せた。

.

.

.

店が終わり、外に出ると、傘を刺した男が一人。
それを退店した女性客達がちらちらと見て、頬を染める。

(あーあーモテてますこと。この人中身最悪なのに騙されちゃって)

その端正な顔を、Aは殴りたい気持ちに駆られていた。

神威はAに気づき、近づく。


「遅くまでお疲れ様」


白々しい顔で、Aを労う。
二人を見て、常連の客は目を丸くする。
その一人が駆け寄ってきて、


「Aさんが言ってた彼氏さんって、この人ですか…?かかかかっこいいですね」


なんて早とちり。

(何でこの馬鹿と、二度も付き合わなきゃならないのよ)

そう嫌な気持ちが沸いていると、




「違うよ。ただの友達」


神威は、にっこりとそう言った。

.

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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時

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