百三.脱兎、再会編 ページ28
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「え、今度はホストクラブ?」
Aにどこかで頼まれたような話題を耳にした。
「狂四郎のやつが今黒服になるような奴探してるらしてさあ」
腕っ節の強くて接客できるのお前じゃん、と銀時は口を尖らせた。
「男性じゃだめなんですか」
「やっぱり客が女だし、何かあった時に女の店員が一人はほしいんだと。それに今お前一応男いんだろ?」
男という言葉に、胸がとくんと音が鳴る。
(そうか、そういう風にとらえられるよね)
改めて伝えられる関係性に、慣れず、そわそわしてしまうAがいて。
「客も、相手が既にいる女だったらスタッフに手ぇださねぇって納得すんだろ」
「まあ…確かに」
「それにお前」
そう言って、銀時はAの頭から爪先まで視線を巡らせる。
そして、ふんと鼻を鳴らして、
「陸奥に似せた格好といい、短い髪だったりで、可愛い女って感じじゃねえだろ」
とにやりと笑う。
Aがむっとして、
「それを好きになったもの好きさんが、近くにいた気がするんですけどね」
と小声で言えば、銀時は知らんぷりをした。
Aはホストクラブと聞き、少し心配になる。
それは性別が違えど、水商売であることには変わりないこと。
(坂本さんは嫌がりそうな気が)
男だらけの場所で働くとなれば、渋い顔を見せそうに思えた。
「坂本さん、許してくれますかね」
その独り言に、銀時はああそれならと胸元から一枚の紙切れを取り出す。
そこには、陸奥の印鑑。
「姉貴が坂本の代わりに許可をくれた。黒服なら酒も飲まなくていいし、心配ないだろうだってよ」
「いやいくらお姉ちゃん権限でも…」
「話聞くところによると、坂本はいつも以上に尻に敷かれていて、動けないらしいぜ。だから陸奥が実質的権限ってやつだろ」
銀時のその言葉に、ははあとAは頷いた。
(写真の件、むちゃくちゃ怒ってたもんな)
ひいひい言いながら、艦長室で書類の山と戦っている坂本の姿が悠に想像できた。
「で、どう。そんな長い期間じゃねえからさ」
銀時の問いかけに、
「仕方ないですね」
とAが溜息をつく。
「断れない自分が憎いですねぇ」
「それを狙って俺は来てんの」
銀時はしてやったりと眉を上げた。
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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時