百壱 ページ26
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『その効果は、
性別関係なく、見た者を好きになる。
性別という概念が消えるんだ』
『つまり、女が女を、男が男をってことですか』
『そういうことだ。まあ、恋愛も人それぞれだ。それに関して否定はしないんだが、同性を恋愛感情で見れない奴もいる。その薬をきっかけに新たな性被害が増えてるってことだ』
『愛染香と同じく、人の心を弄ぶ厄介な代物ですね…』
土方と会話していたことが、フラッシュバックした。
目の前にいる姉である陸奥を見るだけで胸は高鳴り、どうしようもなく触れたくなる。
それをどうにか理性で押さえ込んでいた。
「坂本さん、早く、お姉ちゃんを連れて帰って下さい」
「えっでもおまんは」
「お願い、早く」
涙目で訴えかけるAに坂本はぎょっとする。
「早くしないと、
私はお姉ちゃんを襲います、きっと」
その言葉にざわっと周りはどよめいた。
そこに月詠は帰ってきて、
「奴を捕まえた。今、百華で確保しておる。今から真選組に引き渡すつもりじゃ。
その薬、また厄介だぞ」
鋭い目つきでAを見る。
かつかつとヒールを鳴らし、Aに近づき、首に手刀を叩きつける。
Aの意識はぱたりとなくなり、力なく坂本に持たれかかった。
月詠は陸奥を向く。
「陸奥殿。どんなAでも、受け止める気はあるか」
その問いに陸奥は真っ直ぐ見つめ、答える。
「ああ。どんなことになっても受け止めてやる」
凛として応える陸奥に、月詠はごくりと固唾を飲んだ。
そして覚悟を決めたように、息を一つ。
「Aは、おぬしに、
....恋をしている。
その恋が解けるには、陸奥殿。
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おぬしからの、接吻が必要じゃ」
月詠は、おぬしからの、を強調して言った。
坂本は口をぽかんと開け、陸奥とAの顔を交互に見る。
「ちょちょちょちょい待ち!陸奥とAは姉妹じゃろう!?そんなこと」
「姉妹等関係ありんせん。目に入った者を好きになる、そういう薬じゃ。どうする陸奥殿」
陸奥の冷静沈着な態度は変わらず、ぴくりとも表情を変えなかった。
陸奥は坂本をちらりと見る。
その目は、少しだけ迷ったような色があって。
「陸奥…まじで?」
「…坂本。覚悟しい。
....これから見ることは墓場まで持っていけ」
坂本の腕の中で、Aはすやすやと眠っている。
それを見て、陸奥は大きく息をする。
「まさか、こんなことになるとはの」
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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時