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「あの、」
「ん?」
「私……、」
「……、うん、どうした?」
「……っ、」
彼の瞳が、声が。
あまりにも優しいものだから、涙が出そうになった。
「実は、」
ヘドロの森で働くことになった経緯も、昨夜起こった出来事も。
ぽつりぽつりと話始めると、彼は静かに聞いてくれた。
何も口を挟むことなく、ただ静かに。
それがとてもありがたかった。
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「……、」
昨夜の出来事を話し終えても、彼は俯いたまま動かなかった。
「……銀時、さん、?」
心配になって覗き込むと、彼は私の手を取った。
真っ直ぐな瞳に見つめられて、動けなくなる。
「ごめんAちゃん。……許して、」
小さくそう呟くと同時に優しく腕を引かれると、彼の香りに包まれた。
ぎゅ、と彼の腕が締まる。
何が起こったのかと目をまるくして固まる私とは裏腹に、彼の肩は小さく震えていた。
「もうこんな思い、させたくねェ……っ、」
ひどく苦しそうに言った彼が、私の首にできた痣をツツ、となぞって口付ける。
突然の出来事にびくっと肩を震わせると、彼ははっとしたように私から離れた。
「……っ、!悪ィ、」
手で口元を覆って、焦ったように私から目を逸らす。
ドクドクと激しく脈を打つ心臓の音が、どちらのものかなんて分かりもしなかった。
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日向(プロフ) - 由菜君さん» わああ嬉しいです…!!!キュンキュンして頂けて良かったです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 381さん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!!こちらこそ素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - めちゃくちゃキュンキュンしました、、!すっごく良かったです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
381 - 神楽ちゃんがおもしろくて、、、一気に読ませていただきました!とっても素敵な作品をありがとうございますッ! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 664ca7d814 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - Kさん» まさにそういったものが描けたらと思って作った作品なので、そう言って頂けて本当に本当に嬉しいです…!ドキドキさせられて良かったです!こちらこそこの作品に出逢って頂いてありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年11月1日 19時