ヘドロの森のバイトちゃんは今日も天使【坂田銀時】

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「坂田さん！ごめんください！」









ある大雨の日の夜。

今日は新八もいねェし、神楽もそよ姫の所に泊まりに行っている。





雨だからと自分に言い訳をして、久々に一人で過ごした1日だった。





そんな1日が終わろうとしていたというのに、突然響いたのは玄関を激しく叩く音。

既に寝ぼけ眼だった俺は不機嫌にそちらを見た。









「るせー……」









人の睡眠を邪魔しやがって。

頭をガシガシと掻いて立ち上がる。









「坂田さん！」

「はいはい、今行くってーの」









聞こえないように文句を言いながら玄関へ向かい、相手も確認せずに戸を開ける。

そこにいたのは、焦った様子の屁怒絽。









　

「坂田さん！こんな夜更けにすみません、」

「……いえ、なっ、何の御用ですか？」









相手を知るやいなや上ずった声を誤魔化して尋ねると、屁怒絽はひどく動揺している様子で。









「買い物から帰ったら、店前に私の花が落ちていましてね、Aさんの姿も見当たらなくて…、それで坂田さんのお家にいるのではないかと、」

「えっ、いや、……家には来てねェけど、」

「そうですか…、いや、何も言わずに何処かへ行くなんてこと、今までなかったものですから」

「……、」









ふと脳裏をよぎったのは、彼女の腕に巻いてあった包帯。

杞憂にすめばいいものの、もし何かに巻き込まれているとしたら。









「…、んな焦ってるってことは、何か思い当たる節でも？」

「……、はい」









それから屁怒絽に全てを聞いた。

Aに口止めされていたことも、腕の包帯の訳も。









「あっ、ちょっと坂田さんっ、！」









屁怒絽を押しのけて走り出す。

雨なんて気にしている余裕もなかった。









ただの俺の早とちりならいい。







頼むから、無事でいてくれ。









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