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Aちゃんが見舞いに来てくれてから4日。
漸く風邪が治った。
大人の風邪ってこんなに治りにくいもんだったか、と思いながら俺の足が向かうのはいつもの花屋。
「…あ!銀時さん!!」
まだ距離は離れているというのに、俺に気付いたようで、にこにこと笑いながら手を振っているAちゃん。
はぁぁ、今日も今日とて天使。
俺も破顔しかけたそのなさけない面をなんとか引き締めながら手を上げる。
「よー、」
「良かったです!お元気そうで」
「Aちゃんのおかげでな」
少し照れたように、えへへと笑った彼女。
前髪を直そうと手を上げたその腕に、見慣れない包帯が巻いてあるのに気が付いた。
「ちょっ、Aちゃんそれどうしたの!?」
「えっ、……あぁ、えっと、転んじゃって」
「…大丈夫なのか?」
「はい、ちょっと捻っただけです」
「……そっ、か、」
ドジなんです、と笑った彼女の笑顔が、いつもより少し曇っている。
それに気が付かないほど、俺も鈍くはない。
何かを隠しているのは分かったが、それを無理に問いただそうとは思わなかった。
何よりAちゃんが、それ以上は聞いて欲しくなさそうだったから。
「気を付けてね、銀さん心配だから」
「ふふ、はい、」
ほっとしたようなAちゃんの表情。
何かあるなら俺に頼ってくれなんて、おこがましくて言えないくせに、少しだけモヤモヤする胸。
(……俺も大概なヘタレだな、)
普段は新八に偉そうなこと言っておきながら、自分がその立場になるとどうにも弱気になっちまう。
そんな自分に呆れながらも、彼女の腕を見つめた。
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日向(プロフ) - 由菜君さん» わああ嬉しいです…!!!キュンキュンして頂けて良かったです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 381さん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!!こちらこそ素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - めちゃくちゃキュンキュンしました、、!すっごく良かったです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
381 - 神楽ちゃんがおもしろくて、、、一気に読ませていただきました!とっても素敵な作品をありがとうございますッ! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 664ca7d814 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - Kさん» まさにそういったものが描けたらと思って作った作品なので、そう言って頂けて本当に本当に嬉しいです…!ドキドキさせられて良かったです!こちらこそこの作品に出逢って頂いてありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年11月1日 19時