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「それじゃあ、お大事に」
「すみません、ありがとうございました」
「いえいえ、冷蔵庫にすりおろしたリンゴと、普通に切ったリンゴが入ってるので、皆さんで食べてくださいね」
「わざわざありがとうございます!」
「ふふ、いいえ、」
「送れなくてすみません、気をつけて下さいね」
「まだ明るいから大丈夫だよ、ありがとう」
銀時さんはあのままぐっすりと眠ってしまったようで、やはり熱がまた上がってきたのだと思う。
見送りに出てきてくれた新八くんに手を振って、ヘドロの森へと向かう。
不可抗力とはいえ繋いでしまった手を握りしめて、戻ってくるドキドキを何とか抑えた。
『……行くな、』
寝ぼけていたとはいえ、あの熱っぽい瞳が忘れられない。
(……かっこよかったな、)
きっとこの時私は浮ついていた。
だから、天罰が下ったのだ。
ヘドロの森の前。
立ち尽くす男の前には、無惨に蹴散らされた花。
屁怒絽さんの花を見る優しい瞳を思い出して、かっと感情が高ぶる。
「ちょっとあなた、そこで何してるんですか…!!」
「……やっと見つけた」
いつか聞いたその声に、ぞわりと鳥肌が立つ。
「……っ、!」
「どうして逃げたの?こんなに愛してるのに。探したんだから」
その男は、ジリジリと近づくと、私の腕を掴んだ。
ぐっと力を込められた箇所が、ジワリと痛む。
叫びたいのに、声の出し方を忘れてしまったかのように、喉がひゅ、と鳴るだけで。
「っ、やめ、」
「……Aさん?」
「…チッ、」
聴き慣れた低い声に、男は舌打ちをして私を突き飛ばすと、走って逃げていった。
突然の出来事に私は受け身も取れずに、手を変な風についたせいか痛みが走った。
「あっ、ちょっと、」
「……屁怒絽さ、」
「…!Aさん!大丈夫ですか!?」
カタカタと震える手で屁怒絽さんに手を伸ばすと、驚いたように私の元へ駆けつけてくれた。
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日向(プロフ) - 由菜君さん» わああ嬉しいです…!!!キュンキュンして頂けて良かったです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 381さん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!!こちらこそ素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - めちゃくちゃキュンキュンしました、、!すっごく良かったです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
381 - 神楽ちゃんがおもしろくて、、、一気に読ませていただきました!とっても素敵な作品をありがとうございますッ! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 664ca7d814 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - Kさん» まさにそういったものが描けたらと思って作った作品なので、そう言って頂けて本当に本当に嬉しいです…!ドキドキさせられて良かったです!こちらこそこの作品に出逢って頂いてありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年11月1日 19時