3:繊細な彼女 ページ4
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1人で部屋の片付けをするのは無理だと思い、
神楽と新八、Aを呼んで片付けに取り掛かる。
黙々と片付けていると神楽が「あっ、」と声を上げた。
何かと思えば両手いっぱいに写真を持っていて、その中から1枚、指を指してトントンと目を引きつける。
「見るアル、これ」
「わ、銀さんいい顔してる」
「Aもいい顔してるアル」
そこに写っているAは神楽の言うとおり、いい顔していた。可愛らしい笑みを浮かべ、俺の心は大きく高鳴った。
「ねぇー、みんなしてサボんないでよー!」
Aの悲痛な叫びで各自また片付けを始める。
元はというとこんなギリギリで片付け始めるAが悪いのだが、そんなことを言うと怒られる気がしたため既のところで飲み込んだ。
「それにしても、物多いな」
片付けて思ったことはこればかりだ。
今もタンスから謎のリボンは出てくるし。
ほぼゴミ同然だと思い、ゴミ袋に入れようとしたところAに止められた。
「これはラッピングのリボンなの、可愛いから置いてあるから捨てないで!」
ムッと、俺を睨むA。
変なところで繊細なこいつ。
こんなんだから物が多いんだ、断捨離しろ断捨離。
だが、それを大切そうにダンボールにしまい込むAを可愛らしく思ってしまう俺は重症のようだ。
ガラクタばかり出てくるこの部屋はおもちゃ屋のようで、そこから出てくるガラクタの中に神楽が気に入るものもあった。
あるいは兎のぬいぐるみ、あるいはカメのストラップ。
何故こんなにも物が出てくるのが不思議でならなかった。
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作者名:しゃしゃねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=80052c2ded6763cad9b2f669385f5dbf...
作成日時:2018年6月30日 19時