Case46 ページ48
「はぁ!?そんなマンガみたいな水が」
『実は、あるんですよ』
『安室さんは、ご存知ですか?』
そう尋ねれば、
彼は一度目を見開くが、
すぐにその口に笑みを浮かべた。
「………過冷却水。
水が凍るはずの凝固点、0度以下になっても氷にならないで液体のままでいる水のことで、
振動などの刺激を与えると急速に凍り始める。
作り方は、均一に冷えるようにペットボトルをタオルで巻き、
マイナス5度ぐらいの冷凍庫に4、5時間寝かせるだけ。
振動を与えると、ペットボトルの表面に沿って上の方から凍り始めるので、
恐らく琴音さんは過冷却になったスポーツドリンクの中に鍵を入れて振動させ、
上の方が凍ってからひっくり返して、
鍵をドリンクの中央に寄せてから全体を凍らせて、園子さんに飲ませたんでしょう」
『スポーツドリンクは薄い色がついていますし、ジェル状に凍るので、中の鍵は見えなかった、ということになります』
「じゃあ、そのスポーツドリンクを溶かせば…」
『えぇ、出てくると思いますよ。
琴音さんが、石栗さんを殺害したという痕跡が』
―――
――
―
『やっぱり、私、探偵向いてない』
「「そんことない!!!」」
桃園琴音さんはその後、容疑を認めた。
亡くなった友人への、敵討ちだったらしい。
連行される琴音さんを見て、なんだか気分がモヤモヤとした。
(真実を暴かれたその人は、大きく人生が変わる)
殺人は決して許されるものではないけれど、
なんだか、
探偵、というものは、
嫌な役だな、と
強く思う。
「さすがAお姉さんだね!」
『ハハハハ、全部あの推理オタクの受け売りだよ…』
新一は、
いつもこの役をかってでているのか。
(本人にその気はないんだろうけど)
「さすがですね、Aさん」
『…いえ、安室さんのフォローがあってこそです』
「そんな、謙遜なさらずに。
さすが、高校生探偵工藤新一くんの相棒だ。
探偵に向いているのでは?」
『そんな柄じゃないですよ。たまたまです、今回は…』
「おーいお前ら、帰んぞー!」
蘭ちゃんパパの声に返事をし、
私は、蘭ちゃんパパの車に乗ろうとするが、
「乗っていきません?」
と、
彼は私の腕をつかんだ。
「どうせなら、夕食もご一緒に」
『マジですか』
「大マジです」
どうやら、
(拒否権はなさそうだ)
ニコニコと笑う彼の顔は、
夕陽の影に隠れ、
よく、見えなかった。
4498人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソーダ愛す - ヤバい、面白すぎる...!個人的におジャ魔女とひょっこりはんがツボでしたww (12月13日 21時) (レス) @page49 id: 73c730aa71 (このIDを非表示/違反報告)
テトノ - 初めまして、とてもおもしろいです!!!はい、ひょっこりはんの所がとくにおもしろかったです (2022年4月10日 12時) (レス) @page44 id: 766cae026c (このIDを非表示/違反報告)
いつも楽しみに読んでます!更新頑張ってください! - ライ (2018年10月14日 9時) (レス) id: a0ae5a4b08 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、面白いですヽ(*≧ω≦)ノパルクール出来る女子高生とかカッコいい!安室さん推しな感じも最高です♪ 正にドキドキハラハラな展開も良いです(*´艸`*)ひょっこりはんも笑いました(笑) (2018年6月13日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アオ - あおいさん» ありがとうございます!続編の方、読みました。教えていただき、本当にありがとうございました。 (2018年5月13日 8時) (レス) id: c480416726 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年4月7日 22時