【名探偵コナン】それ、疲れません？【降谷零】

Case39 ページ41

バーボンside


ベルツリー急行からはや数日。

シェリーが爆発に巻き込まれ、

赤井秀一によく似た人影を見かけ、

組織の後始末や赤井秀一に関するファイルを位地から見直していたころに、

毛利小五郎からテニスのコーチを頼むと連絡があった。


(都合がいい)



シェリーや赤井秀一ももちろん気にはなる。

そしてそれと同じぐらい、


彼女、





六条Aの行方が気になっていた。



毛利蘭や少年探偵団から聞いたのは本当のことだ。

乗客の話もそう。




(六条Aは頭がいい)




ベルモットとの関係を疑い、

色々と調べさせてもらったが、


学業は常にトップクラス。

運動においても男子の能力に引けをとらない。

工藤新一に対し、鶴の一声をかけては事件解決に貢献する。



物事に関し、無頓着であるように見えるが、

よくよく周りを見ている。


そんな彼女なら、

僕の正体に気がついている可能性が十分にある。


あの爆発のとき、

いや、

シェリーと対峙している時点で、

もしかしたら彼女は、


僕の、"バーボン"としての姿を見てしまっているかもしれない。



(けど、)



ベルツリー急行後に、顔をあわせても、

特にこちらを伺う様子もあまりみられない。


コナンくんは丸わかりだが……。


(気づいていない？………いや、)


ここは、





(……迫って、みるか)





"バーボン"として彼女に近づいたとき、

どう反応するのか。


過去に、彼女がクライアントの特徴を言い当てたとき、

ベルモットの存在や自分の正体がバレたのではないかと、

わずかに神経を研ぎ澄ませただけで、

彼女はその違和感に気がついた。


それならば、

"バーボン"として近づけば、反応は見易いだろう。






「どこに、いたんですか？」




「六条Aさん」




耳元に口を寄せ、

名前を呼べば、


彼女はうつむいたまま、肩を震わせた。




(………黒、か)




どうやら彼女は、

僕の正体に気がついている。




と、

想っていたのだが、


口を開いた彼女は、





『実は、


トイレ、行ってたんです』


と、

恥ずかしいのか、

顔を手で覆いながらそう言った。



「トイレ…」

『そんな反応になりますよね…。
火事なのにトイレって……そりゃ私もビックリですよ。
命の危機なのにこうも生理的欲求は活発に働くとは…』


『安室さんにこんな話するの本当に恥ずかしい』と、


首をブンブンと降りながら、

彼女は耳を赤くした。

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