Case35 ページ37
『………まぁ、災難だったわけか』
「簡潔にまとめてくれたな…」
私の目の前に座る少年は、
ジト目でこちらを見た。
『災難、としか言いようがないよ。
今までの事件の解決といい、君の行動といい、
全てに合点がいったよ』
「…、
ホント、オメェが無頓着で助かったぜ」
『そうさね。
突っ込みどころ満載だったの、我慢したんだから』
「実際、いつ頃から怪しんでた?」
『君が江戸川コナンと名乗った時からだよ』
「……だろうな」
『ホントに嘘つくのヘタクソ』と、笑えば、
「うるせぇな…」と視線を逸らした。
『君が黒の組織を追う理由も、哀ちゃんが黒の組織を恐れる理由もわかった』
「……くれぐれも、蘭には言うなよ」
「……実のところ、
お前にも言わなかったのは、巻き込みたくなかったからだ」…と、新一はテーブルに置かれたコーヒーを見つめながらポツリと言った。
『……なにを今さら』
呆れてため息をつけば、
目の前の彼はこちらをチラリと見た。
『……ねぇ、新一』
「……んだよ」
『私の母親、誰だか知ってる?』
頬杖をつきながら、新一を見つめた。
すると彼は、
「……知ら、ねぇよ」
と、
うつむいた。
(……なんでこう、)
君はとことん嘘が下手なのか。
呆れてため息をもらしてしまう。
『……そう』
彼が自分の素性を明かしても、
私の母親についてしらをきるのは、
(……きっと、私が望まない答えだから)
新一は、私の母親が誰かを知っている。
けど、
知らないふりをする。
(君は、いつも、
私のために嘘をつく)
「……オメェの母親は、
工藤有希子……そう、だろ」
『……………うん、そうだね』
(……深くは聞かないよ)
有希子さんが私の母親なのに偽りはない。
不満だってない。
けど、
(気に、なるなぁ……)
消えかけていたはずの思いが、
今になって頭をのぞかせる。
「そ、そういや、
ポアロで働く、安室さんのことだけどよ…」
無理やり話題を変えるように、
新一は立ち上がった。
『………………バーボン』
「……あぁ」
『ミステリートレインからしばらくお店は休んでるよ』
「だろうな。
まぁなんでポアロのバイトだったかは知んねぇけど、
もう戻ってこないんじゃねぇか?」
どこか嬉しそうに語る新一。
けど私は、
(戻ってこない、か…)
どこか、
悲しく思えた。
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ソーダ愛す - ヤバい、面白すぎる...!個人的におジャ魔女とひょっこりはんがツボでしたww (12月13日 21時) (レス) @page49 id: 73c730aa71 (このIDを非表示/違反報告)
テトノ - 初めまして、とてもおもしろいです!!!はい、ひょっこりはんの所がとくにおもしろかったです (2022年4月10日 12時) (レス) @page44 id: 766cae026c (このIDを非表示/違反報告)
いつも楽しみに読んでます!更新頑張ってください! - ライ (2018年10月14日 9時) (レス) id: a0ae5a4b08 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、面白いですヽ(*≧ω≦)ノパルクール出来る女子高生とかカッコいい!安室さん推しな感じも最高です♪ 正にドキドキハラハラな展開も良いです(*´艸`*)ひょっこりはんも笑いました(笑) (2018年6月13日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アオ - あおいさん» ありがとうございます!続編の方、読みました。教えていただき、本当にありがとうございました。 (2018年5月13日 8時) (レス) id: c480416726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年4月7日 22時