【名探偵コナン】それ、疲れません？【降谷零】

Case34 ミステリートレイン ページ35

(爆発………！？)


どうやら、

目の前の男は手榴弾を投げたようだった。


「さぁ、離れるぞ」

『で、でも、女性が』
「彼女は生きている」



そういって、私の腕を掴んだ。



「早く乗客に紛れ、何事もなかった顔をしろ」

『なかったこと、って』

「彼に、気づかれるぞ」



また、大きく心臓が羽上がった。

彼、

バーボン、





安室透。




「母親のように、演じきってみせろ」


トンッ、と背中を押され、

よろけながらも7号車に足を踏み入れた。


『は、母親って……！』





振り向いても、そこにはただ扉があるだけだった。





(母親って、)



それは、有希子さんのこと？

それとも、


本当の、母親のこと？





ぐるぐると頭を駆け巡る物事に、

目が回りそうな思いだった。





江戸川コナンが工藤新一である可能性。

ミステリートレイン殺人事件。

黒の組織に追われる灰原哀。

安室透は黒の組織のバーボン。

謎の男。

そして、



(母親…)




もう、気にしないと、

思っていたのに。




(ダメだ)




どんな顔をすればいい。




(どうやって、みんなに振る舞っていたっけ)




ダメ、ダメだ。







「Aお姉さん？」




頭を抱えていた私は、

幼い声に、顔を挙げた。



「大丈夫？顔色、悪いよ？」

『え、あ……』

「ほら！降りよう！！」


どうやら列車は近くの駅に停車したらしい。

ぞろぞろと乗客たちが降りていくのが見える。


『…………………、ねぇ、』

「なぁに？」






『話があるの。付き合ってくれるよね、





新一』





私の袖を掴んでいた彼は、

驚くこともなく、

ただ真っ直ぐに私を見て、





「俺も、オメェに話してぇことがあんだ」




と、

猫かぶりをやめた。









ミステリートレイン END

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