Case19 ページ20
"ゼロ"にしない。
確かにあの推理オタクに言われたなぁ…と、
まだ、ランドセルを背負っていた頃を思い出す。
『親の顔を知らない私は、端から見れば捨て子で
小学生は、皆と違う子を、どうしてもいじりたくなるんでしょう。
しかも、蘭ちゃんたちが言っていたように無愛想だし、必要最低限の話しかしてこなかったから、
影が薄い、
いてもいなくても一緒、
透明人間、
そして、
"存在が、ゼロ"』
今思えば、小学生の発想力とはすごいものだ。
『それ自体、私はなんともなかった。
けど、その頃の私は、
本当の親がいない。
自分のことがわからない。
どこかで私も、自分は存在しない。
"ゼロ"なんだって、思っていたのかもしれない』
けど、
『あの推理オタクは、
"お前は唯一無二の六条Aで、俺の家族だ"
って……小学生のくせに、ませてますよね』
ハハハッと小さく笑うと、安室さんも小さく微笑んだ。
『その時、
"お前は"ゼロ"じゃねぇ…でも、1でもねぇっていうなら、
お前は"ゼロ"と"1"の狭間。
それが今の六条Aだ。"
それが、どうにも嬉しかったなぁ…』
とても懐かしい記憶だ。
ランドセルを背負った小さなシャーロックホームズ。
そして、ふと気がついた。
『……いつから、家に着いてました?』
「実は、5分ほど前に」
『ひええ…』
自宅を見たのち、安室さんを見れば、
アハハハ、となぜか楽しそう。
「Aさんにとって、工藤新一という男は、とても大切な人なんですね」
『そう…ですね』
そう言えば、なんだか照れ臭い。
「なんだか、Aさんの一面を知れた気がします」
『もう、一面というか全てというか……』
はてさて、私はこんなにおしゃべりだっただろうか。
『とりあえず、今日はホントにお世話になりました…いやホントに…。
今度お礼させてください……ホント、ホントに』
「い、いや、お気持ちだけで十分ですよ?」
いやいや、
ストーカーから助けてもらったのになにもしないのは…
思わず、『ぐぬぬ』と顔に力が入ってしまう。
「やはり貴方は存外、感情が豊かな人のようだ」
困ったように笑う安室さんは、
「では今度、僕にコーヒーを入れてください。お代はそれで」と、
これまたイケメンスマイルをかますものだから、承諾せざるをえない。
「彼女とは、似ても似つかないな」
小さく、そう言ったのに、
私は気づかなかった。
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ソーダ愛す - ヤバい、面白すぎる...!個人的におジャ魔女とひょっこりはんがツボでしたww (12月13日 21時) (レス) @page49 id: 73c730aa71 (このIDを非表示/違反報告)
テトノ - 初めまして、とてもおもしろいです!!!はい、ひょっこりはんの所がとくにおもしろかったです (2022年4月10日 12時) (レス) @page44 id: 766cae026c (このIDを非表示/違反報告)
いつも楽しみに読んでます!更新頑張ってください! - ライ (2018年10月14日 9時) (レス) id: a0ae5a4b08 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、面白いですヽ(*≧ω≦)ノパルクール出来る女子高生とかカッコいい!安室さん推しな感じも最高です♪ 正にドキドキハラハラな展開も良いです(*´艸`*)ひょっこりはんも笑いました(笑) (2018年6月13日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アオ - あおいさん» ありがとうございます!続編の方、読みました。教えていただき、本当にありがとうございました。 (2018年5月13日 8時) (レス) id: c480416726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年4月7日 22時