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第46話【 彼の距離感 】 ページ46

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その後は2軒3軒とお店を見て回り、気が付けば時計の針は13時を廻っていた。

そして、ユーリの両手には買い物袋。



『 あの、それ俺が持ちます…。』

「 だーめ。今日は俺を頼ってよ。」



何故か率先して荷物持ちを行ってくれるユーリ。
何度か声を掛けているのだが、先程の様に断られ続けていた。



「 それよりA君。お腹空かない? 」

『 …言われてみれば。』

「 それなら、休憩がてらあそこの喫茶店にでも入ろうか。」



ユーリが選んだのは小洒落た喫茶店。
他の店に比べてレトロ感があり、懐かしさを感じさせる雰囲気があった。

Aも異論はないとユーリの言葉に頷き、店の扉を開いた。
カランと小気味よい鈴の音が店内に響く。

受付の女性へ2人だと告げれば、席が空いていると直ぐに案内して貰えた。



「 うーん…A君は何か食べる? 」

『 軽く食べたいです。…あ、サンドウィッチとか。』

「 それじゃあ、僕もそれにするよ。飲み物はどうする? 」

『 …ミルクティーで。』

「 可愛いね。」



僕は珈琲(コーヒー)にしようかな。と続けたユーリ。

生憎(あいにく)、甘党なAは珈琲はミルクと砂糖なしでは飲めない。
苦い物より甘い物の方が美味しいに決まっている。

しかし、お子ちゃまと馬鹿にされる事も多かった為、最近はこの味覚が悩みの種だ。


数分もすれば、綺麗な盛り付け方をされたサンドウィッチと各々(おのおの)が注文した飲み物が運ばれて来た。



「 うん、美味しそうだね。」

『 ですね。』



いただきます、と手を合わせてチーズやレタス、タマゴやトマトなどが挟められたサンドウィッチに(かぶ)り付く。

サンドウィッチなど久しく食べてなかったな、と思い返しながらその絶品さに思わず頬が緩む。



「 美味しい? 」

『 美味しいです…! 』

「 口のここ、ついてるよ? 」



ユーリの長く、綺麗な指先がAの唇の端を撫でた。
彼の言葉から察するに、取ってくれた事は分かる。
分かるのだが。



「 ふふ、真っ赤だよ。」

『 当たり前じゃないですか?! 』



こんな、人前でなんて事をしてくれるんだ。
余裕そうに笑みを浮かべるユーリとは裏腹にAは一気に頬が赤くなった。

この距離感が苦手なんだ、と心の中で悪態(あくたい)を付きながらミルクティーを流し込む。
じんわりとミルクの甘さが口の中に広がる。



「 …おい、ユーリ。」



突然、後ろから声を掛けられた。




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設定タグ:オリジナル , 男主 , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…!もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です!チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…!これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね!これからもご愛読、よろしくお願い致します! (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です!とても読みやすくて大好きです!! (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます!好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました!チビちゃんかわいいなもう!僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にじ | 作成日時:2017年9月26日 0時

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