第５話【 妖精の住まう森 】 ページ5
.
胸元でキラキラと輝く鱗。
Aはそれを指先で撫で、満足そうに微笑んだ。
チビも鱗を渡そうとしてくれたが、何せまだ鱗がない。全力で止めておいた。
不意に、
名残惜しそうに見詰められ、両腕を広げれば
そんな彼と額を合わせ、目を閉じた。
『 本当にありがとな…お前のお陰で命拾いした。また会おう、必ず。』
こんな事をする柄ではないが、彼の額へと口付けを落とす。
身体を離した
何度か上空で旋回した
『 本当に安全飛行してくれてたな。』
ぽつり、そんな言葉が唇から零れた。
さて、感傷に浸っている時間はあまりない。
この森に置いて行ったという事は比較的、安全な森なのだろうが。場所も道も分からないのだ、Aからして見れば安全だとは言い切れない。
と、キュウキュウと耳元で聞き慣れた鳴き声がした。
『 は…チビ？お前、一緒に帰ったんじゃ…？ 』
どうしたの、と問う様に首を傾げるチビ。
これは…まずいんじゃあないのか？
しかし、こんな所に置いて行く訳にもいくまい。
次にあの
『 ったく…お前の親も苦労してんだろうな。』
「 キュウ？ 」
楽しそうにパタパタと飛んでいたチビは、Aの肩へ器用に爪を引っ掛け留まる。
すりすりと頬へ擦り寄る姿は普通に可愛い。
『 取り敢えず進むか。チビ、そこから動くなよ。』
森林の中へと足を踏み入れて数分。
周囲は見渡す限りを木々で覆われ、自分達が何処へ向かっているのかも分からない。
『 ここって、人とかいんのかよ…。』
「 この森に人なんていないわ。」
『 っ？！ 』
独り言を拾われ、大きく肩が揺れた。
声がした方へ慌てて視線を向ける。
そこには、淡く光るグリーンの衣服を身に
そして、何より目を奪われるのはその背ではためく４枚の透明な羽根だろう。
鱗粉か何かだろうか。淡い
「 ここは、妖精が住まう神秘の森。聖域よ。貴方は一体、何者なの？ 」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…！もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です！チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (
レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…！これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね！これからもご愛読、よろしくお願い致します！ (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です！とても読みやすくて大好きです！！ (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます！好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました！チビちゃんかわいいなもう！僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にじ
| 作成日時：2017年9月26日 0時
