第34話【 秘密の共有 】 ページ34
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ジェイルに怒鳴られ、Aの頭はクエスチョンマークで埋まった。
『 え、っと…何?心配、してくれた…? 』
「 してねェよ! 」
『 ははっ、ジェイルも優しいとこあんのな。』
つまり、彼は。
部屋に戻った時にAが寝ている姿を見て、その表情が思い詰めていた様に感じたから。
夜中に部屋を抜け出した事に対して、不安を覚えた…心配になった、と。
あぁ、俺はジェイルの事を誤解していたのかもしれない。
『 悪い…心配掛けて。部屋、戻ろう。』
「 だから、心配とかしてねェっての! 」
とか言いつつ隣を歩いてくれるジェイル。
それから部屋に着くまでは言葉を交わす事もなく、静寂が支配する廊下を歩いた。
以前ならば息苦しさを感じていただろうが、今は彼の意外な一面…優しさを知った為、沈黙も気にならない。
既に見慣れたものとなった扉を開く。
中へ入ったのは良いが、目はすっかり覚めてしまっている。
今から眠ろうにも直ぐには眠れないだろう。
『 ん…眠くないな。』
「 こんな時間に起きりゃな…。」
ジェイルも同じらしく、近くにあった椅子へと座る。
Aも自身のベッドへと腰を下ろし、腕の中で眠るチビを撫でた。
「 ……なぁ。」
『 ん? 』
「 さっきのヤツ…お前の女か? 」
『 違う。』
さっきのヤツ、がシオンを指すモノだと理解すれば間髪入れずに否定の言葉を述べる。
Aは何と言い訳をするべきか考えてみたもののジェイルが納得しそうな言い訳は思い付かない。
これは、話した方が良いのだろうか。
『 あのさ。』
「 んだよ。」
『 ジェイルにこんな話するのもどうかと思うんだけど…俺の話、聞いてくんね? 』
「 勝手にしろ。」
素っ気ない言葉を返しつつも話は聞いてくれるジェイル。
そこでAは、ぽつりぽつりとこれまでの
そこまで仲が良い訳でもなく。話をした回数も少ないのに。
シオンや
『 …って事なんだ。』
「 …その
『 そ。』
Aが頷いたと同時にチビの身体を淡い光が包み込む。光が消えるとジェイルは僅かに
「 本物か…初めて見た。」
ジェイルが少し微笑んだ気がした。
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…!もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です!チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…!これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね!これからもご愛読、よろしくお願い致します! (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です!とても読みやすくて大好きです!! (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます!好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました!チビちゃんかわいいなもう!僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2017年9月26日 0時