Ψ後の晩餐6

第233χ ページ6

｢あれ？言ってなかったっけ？僕大学卒業したんだ。これから日本に住むから｣

《……は？！》
｢……は？！｣


えっ、お兄さんこっちに戻ってくるの？
斉木くんの家行きづらくなる！！


｢えぇ？！卒業ってこんな時期に？！｣

｢別にあっちじゃ普通だよ｣

｢卒業式とか呼べよおい！！｣

｢じゃあまた5人で暮らせるんだな！｣

《それAさん入ってない？》

｢うーんそれはまだいいかな｣

｢え？｣


え、斉木くんの家戻ってくるんじゃないの？


｢2人の邪魔になりそうだしね｣

｢そんな……ママと僕の邪魔だなんて思ってないよ……！いつもラブラブだしね｣


お父さんとお母さんは手を取り合って照れているが、お兄さんは私と隣にいる斉木くんにウインクをした


それって私と斉木くんの事……？

ちらりと斉木くんを見れば、目が合いその後すぐ逸らされてしまった
ため息をつく斉木くんに、あぁいう風に言われて嫌だったかな？と少し寂しくなる


《とりあえず兄は来ないな。良かったじゃないか》

｢えっ……？｣


一瞬期待してしまったが、よくよく考えれば私が斉木家に行きづらくなる事をわかっていてそう言ってくれたんだ

斉木くんが"僕達2人の邪魔をされなくて良かった"なんて思うはずが無い

……でも、逆に私がいても迷惑じゃないと捉えられる

何だろう、斉木くんの言葉にはいつも裏がある
優しい優しい裏がある

私はそれだけで嬉しい
今日来て良かった


｢えへへー｣

《……気持ち悪っ》

｢いいんだもーん｣

《いつもと返答が違うな。さっきの跳弾頭に当たったか？》

｢当たってないよ！！｣

《戻った》


まったく斉木くんったら……！


そう思っていると、頭にポンと何か置かれた


｢お？｣


頭に乗ったものを手に取ると、可愛いくまのぬいぐるみ
あの最後に勝負材料に使われたものなんか比べ物にならないほど、ほんとに可愛い


｢かああっ！！可愛い〜！！どしたのこれ！いつの間に！！｣

《射的の景品だ。てきとうに狙ったら取れた。僕はいらない》

｢えー！！嬉しいありがとう……！！大事にするね！｣


フッと笑った斉木くんにドキドキした

嬉しいな
ほんとにてきとうなのかな
だっていくらてきとうでもいらない物狙う？
しかも可愛いくまのぬいぐるみ

でも斉木くんならどちらも有り得る……

今だけは都合良く捉えちゃおー


｢斉木くんだと思って毎日肌身離さずずっと抱いておばあさんになっても《怖い》

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