Ψ後の晩餐6

第266χ ページ39

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｢ん？返すの？悪ぃけど自分で戻しといてー。オレ今風邪引いててさー｣


目の前のマスクをしている図書委員の男は受付に座り、携帯をいじりながら言った

本を返されたらお前が受け取るのが仕事だろ
やれやれ……何故こんなやつが図書委員なんてやっているのだ……？

まぁ本に詳しい奴でも困るがな


ここはPK学園の図書室
僕が教室の次によく来る場所である

高校の図書室にしては蔵書数も多く重宝している


小遣い3000円の僕にとって本は買うものではなく借りるものだ

以前は図書館を使っていたが、人が多い上に司書にネタバレを食らうことも多かった

一方こちらは利用する生徒も少なく受付も少年ジャンプしか読まなそうな図書委員1人だ


それに何より今僕が読んでいる本は図書館には置いていないのだ

それは目の前の棚にある

そうこの本
｢名探偵高円寺司の事件録｣シリーズ全7巻


約20年前に刊行された藤森川彦一氏による推理小説である

まだ2巻までしか読んでないがストーリーはよくある王道な探偵モノ

まぁ内容はお察しの通りだがそれでもシリーズが7も続いてるだけあって｢まあまあ｣ではある

何より僕は純文学や恋愛小説より推理小説を好む

そして……


本の1番後ろの貸出カードを手に取り、名前を確認した


借りてる奴も20年前に2人だけ

それだけで読むのに十分な理由だろう


……いやしかし待てよ……

今2冊まで読んだから残り5冊だが……
図書室で借りれるのは4冊までだ
明日は休日だから6巻の続きは月曜まで読めないのか……


よし1冊はここで読もう


貸出カードを本にしまおうとした瞬間、ガラガラと図書室のドアが開いた音がした


｢あ、斉木くんいたっ｣


Aさん？！何故ここに……？！


｢えへへ〜来ちゃった｣

《いや来ちゃったって来れる場所じゃないだろ……それに何故ジャージなんだ？》

｢実は今日軽い練習試合がPK学園であってね、誘われた時に斉木くんいるから行こうと思って！｣

《何か部活入ってたか？》

｢んーん！今日の練習試合バスケ部なんだけど、今日マネージャーがいなくて、私昔バスケやってた経験あるからマネージャーとして来てって！部長と仲良いからさ｣

《スポーツ出来るのか。意外だな》

｢えへへ。でしょ？｣


そういえば前のスキーも案外上手かったのを思い出したな


《もう終わったのか？》

｢暇だから抜け出してきた｣


……いいのか？それ

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