【実.況者】俺らの幼馴染みが鈍感すぎた件【最/俺】

#89 -全身組- ページ39

キヨくんとレトやんが私の家に来てダラダラしながらゲームをしている。
なぜわざわざここでゲームをする必要がある。

『お前ら帰れよ』

キ「許せ」

何を持って許してあげればいいのです？
私からしたらただの迷惑なんですが。
人が居ると仕事が出来ねぇんだよ。

レ「キヨくんが、Aちゃんのこと心配なんだって」

キ「おい、言うなって！」

キヨくん、私のこと心配してくれるような人だっけ？
レトやん嘘吐いてない？

レ「吐いてないよ」

『えっ！？口に出てた？』

キ「かなり声でかかったぞ」

…ほら、どの辺が心配してくれてるのでしょうか？
到底私にはわかりません。

レ「そーいえばさぁ、Aちゃんとキヨくんたちって高校一緒なんだよね？」

キ「うん」

あ、話逸らしやがった。
もういいか。諦めろ、自分。

『それがどうかした？』

レ「そのときから仲良かったのかなぁって思って」

『んー…。中学のときに比べたらそうでもないよね』

キ「だってA、俺らと一緒に居るような子じゃなくなったもんな。…あ。ごめん」

あんなことがあったばっかりだから気使ってくれてるのだろう。
私はもう大分吹っ切ったけどね…。

『キヨくん、私はもう大丈夫だよ。レトやん、私ね高校生のときお金稼ぐ為に体売ってたんだ』

キ「Aっ…！」

『私のこと知っても仲良くしてくれる人と私は一緒に居たいから…』

それにレトやんなら大丈夫って、根拠のない自信があった。
レトやんなら私のこと引いたりしないって。

レ「それは、ご両親が亡くなったから？」

『そう。絃くんと2人で暮らすのにはお金が必要だったから…』

レトやんは手に持っていたコントローラーをぎゅっと握りしめ、辛そうな顔でこちらを見てきた。

レ「ずっと辛かったよね…。よかった、キヨくんたちがAちゃんの側に居てくれて。俺は何も出来ないから…」

ほら、もう泣きそうな顔をしてくれる。
レトやんのこと信じてよかった。
やっぱり受け止めてくれる。
でも、それに甘えてちゃいけないけどね。

キ「うわぁ、レトさん泣くなよ…」

レ「だってぇ…」

『レトやん、ありがとう。私の話聞いてくれて』

レ「またいつでも聞かせて…？」

こんなレトルト視聴者さんは想像もしないだろう。
鼻水と涙でボロボロになるなんて、私も予想外だわ。
でも、嬉しかったな。
私のことで泣いてくれたところとか、キヨくんにありがとうって言ったところとか。
本当、いい友達を持ったよ。

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