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｢あ、りがとう？｣
｢ふふ、照れてる｣
｢…可愛いなんて、言われたらさ、｣
｢大人なのに？｣
｢…大人だからよ｣
そりゃね、可愛い可愛いと思っていた生徒から可愛いなんて言われたら困っちゃう。てかそもそも生徒が先生に可愛いって、ない！
てゆうか、田中くんて普段からこんな感じなのかな。女の子に普通に可愛いとか言えるなんて、私の推しがチャラい！
こんなんじゃ高校生の女の子はみんな田中くんを好きになっちゃうよねえ。
｢もしかして、田中くんてモテる？｣
帰り際、準備は整ってるくせに中々塾から出ようとしない田中くんを出口まで見送りながら聞いてみる。そしたら、振り返った田中くんがくしゃっと笑う。
｢ん？好きになっちゃった｣
｢いや、それはない｣
｢なんだー｣
ニヤニヤして大人を揶揄うなんて悪い子。でも、そこに見え隠れする私への甘えにキュンとするのだ。
やっぱり男子高校生は可愛いなあ。
｢はいはい、ふざけないで帰るよー｣
もう人もまばらになってしまった教室で、ブレザーに身を包むのは彼しかいない。講師達もそろそろ帰る準備を始めてて、そろそろ私も帰らないとという感じ。
｢ねえ、先生ももう帰るの？｣
外へ繋がる扉を開けたら、冷たい風が吹いた。パーカーにブレザーを着込んでるくせに寒そうな田中くんはそんな事を言う。
｢そうね、そろそろ帰る｣
｢そっか、じゃあ俺、…｣
なんでそんなこと聞くんだろと思いながらも素直に答えれば、意を決した表情をした田中くんが何かを言いかける。
が、結果的には何が言いたかったのかはわからなかった。
なぜなら、
｢長谷川先生、まだ業務残ってるよ｣
不意に現れた後輩が、田中くんを遮ったから。
腕を後ろに引っ張られ温かい室内に踏み入れる。
｢じゃあ田中、さようなら｣
｢あ、バイバイ、田中くん｣
業務なんかあるっけ、と思いつつも、北斗が言うなら何かしらあるのだろう。
田中くんの授業を何度かお願いしたことのある北斗は田中くんを呼び捨てで。さようならなんて言って扉を閉めようとするから、慌てて田中くんに手を振った。
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sail(プロフ) - ゆーみんさん» コメントありがとうございます！キュンキュンがお届けできて嬉しいです！ (2020年11月29日 16時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年11月29日 15時) (レス) id: 505bb2abee (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» タイトルの意味にまで気付いていただけてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2020年11月13日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初は間違いなく樹の目線だったタイトルが、最後の最後で長谷川先生のタイトルになったこと、お洒落すぎました。素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみにしています！ (2020年11月13日 10時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます。想いあってたのにすれ違った2人を書いていて、私も切なくなりました、、、これからも更新頑張ります！ありがとうございます！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年10月23日 11時
