ひとつ屋根の下で月を眺める

# 15 ページ15

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「……んっ……、あれ……もう朝……。……はっ……！」


　
寝れるわけないなんて、どの口が言ってたんだろう。
普通に爆睡してしまった。
起き上がって隣を見ると、すやすやと気持ちよさそうに眠っている深澤くんがいた。

　
よかった、眠れてる。

　
私を抱きしめて眠っていたその寝相は、いつの間にか腕が投げ出されていて掛け布団も剥がれて足が出ていた。
そんな無防備な姿が可笑しくて、きちんと掛け直して深澤くんの部屋を後にした。

　
でも、添い寝したことがバレたら岩本さんに怒られるよね……。
ひやひやしながら階段を下りてそっとリビングを覗いた。


　
「……よかった、まだ誰もいない」
　
岩本「おはようAさん」
　
「っひぃ！？」


　
突如後ろから声を掛けられて肩が飛び上がる。
首がギギギと音が鳴りそうな具合に振り返ると、怖い顔して私を見下ろす岩本さんの姿。

　
これは、バレている。


　
「お、おはよう、ございます、」



するりと私の横を通り抜けてリビングへと入っていく岩本さん。
「朝ご飯できてるから座って」と言われて大人しくダイニングテーブルに腰かける。
テーブルには卵焼きと鮭、ご飯と味噌汁が並べられていた。



岩本「さぁて、全部話してもらおうかな」



向かいに座った岩本さんが、まるで私に取り調べするみたいに言う。
引き攣り笑いが止まらない私。



岩本「……まぁ、冗談。ふっかが俺より先に起きてないの珍しいんだ」

「……そう、なんですか」

岩本「あいつ薬飲んでも夜通し寝れないんだろ。だから俺が起きるといつもリビングにいるんだけど、今日はいないし。リビングで寝てるはずのAさんもいないし。慌ててふっかの部屋行ったら、案の定ね」

「……す、すみません」

岩本「マジで叩き起こそうかと思ったけど、ふっか気持ちよさそうに寝てっから……怒る気力も湧かなかったっていうか」



進めていた箸を止めて、岩本さんが私を見遣る。



岩本「……Aさんがあいつの精神安定剤なのかな、マジで」



たまたまだろうって、最初は思った。








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