２７ 神の狂気 ページ27
「とてもいい声で鳴くと聞いた。
是非にも我の為に鳴いて欲しいものよ」
「全身全霊全力で全面的に断る」
「つれないね」
智の肩を抱き撓垂れ掛かる。
そしてその頬を撫でた……先程、智の手を取った反対の手……骨だけの手で。
「………」
「人間に天使まで囲って。
我も囲ってくれぬか？」
「断る。
忠告は聞いた。
ならば用はない、去れ」
「仕方ない……今は去る。
必要ならば呼べ」
「貴様を必要とする事などない。
消えろ、失せろ、去ね」
「そうするよ、我が愛しき身内殿」
掠めるように唇を重ね………消えた。
「今の……誰？」
不意に低い声が響いた。
「俺の順番？」
低い押し殺したような問い掛けには答えず、別の質問を返す。
「まだだけど……横にいた奴は誰？
貴方の肩を抱いてたように見えたけど？」
「何、言ってんの…潤。
誰もいなかったよ。
１人でぼーーっとしてたけど？」
しれっと答える。
「いや、絶対いた！
親し気に貴方の肩を抱いてた」
「いないって。
何の幻？
それとも朝っぱらから怪談？」
「誤魔化さないで！」
「あれに囚われるな。
いいか……何もいなかった」
まだ喰って掛かる潤に静かに妖魔の魔力を込めて囁き口を封じた。
「さ、行こうか。
ありがとな」
「ああ、うん」
何事もなかったように皆の元に戻って行く。
「何かあったのですか？」
「何かあるかもしれん」
「どういう事ですか？」
「皆が宿命を見た。
そして俺の所に狂気が来た……奴は忠告をしに…」
「何の？」
「ここに来る前……神に呼ばれたようだ。
奴は誰かの何かの狂気に呼び寄せられて姿を現す」
「……神の狂気？」
「そもそも神の本質かもしれん。
取り敢えず翔も注意だけはしておれ。
マネ達には既に通達済みだ」
「承知しました」
翔の表情に緊張が走る。
何千年も生きて初めて神の狂気に触れるのだから。
順調に進む撮影。
「はい、以上です。
お疲れ様でした」
そう撮影スタッフの声が掛かった……その時……
『全員、引け！！』
声成らざぬ声が皆の脳裏を突き抜ける。
『和、潤！
耐えれるのは其方らのみ。
雅紀と翔を連れて、この場から離れろ！
妖魔は今直ぐ地底へ戻れ！』
次の瞬間……
輝く雨……豪雨が降り敷く。
太陽の光を凝縮し尚且つ光を纏った雨が……
それが大地に突き刺さると大地を震わせ引き裂いた。
地底奥深くまで次々に降る光の雨は割れた大地の奥へと降り尚も引き裂いて行く。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
