２１ 来世のある者 ページ21
「凄いね、翔ちゃん。
でも大ちゃんはそれより、もっと……もっと永く生きてるんだよね」
「そうだな……」
雅紀の問い掛けに智は目を細め窓の外……青空の向こうを見詰める。
そんな智を見て……
………永遠……ってどれだけ永いんだろう。
……俺等の時間はあっと言う間に過ぎて行くような気がするけど…終わりのない時間って………怖い。
………生まれた瞬間から永遠を生きる事が決められてた大ちゃん。
……その大ちゃんと一緒にいたくて、同じ永遠を生きる事を選んだ翔ちゃん。
………俺は？
雅紀はそんな想いに囚われた。
「雅紀は雅紀でいいんだよ。
死して生まれ変わる事を選んでいい。
嘗て俺と同じ命を持ちながら死を選んだ者もいる。
選ぶのは自由だから」
心の中を読まれたように言われ、頬を撫でられる。
「雅紀は雅紀の生きたいように生きればいい。
短くも儚いからこそ、美しくもあり健気であり一生懸命に生きられるだろう」
妖魔と言われ人ならざぬ者に恐怖を覚えはしたが、見知ったその人は優しく儚く微笑む。
妖魔の王であるにも関わらず……
「大ちゃん……」
その儚げな微笑みを見て雅紀は智を抱き締めた。
想像すらつかない永い時を生きる友を……
「………雅紀は温かいな」
「……………」
囁かれた言葉と抱き締めた華奢で冷たい体。
人にある筈の体温を感じない。
何度かこうして抱き締めた事はあるのに……今は感じない。
これが本来の彼なのだろうか。
冷たい体の妖魔の王。
「死んだら…地獄行って、生まれ変わるの？」
「さぁな。
俺のご贔屓だとわかっているだろうから、死の王自ら迎えに来るだろう。
その先は奴に聞け。
身内なれど最も俺には無縁だからな。
死の王すら俺に死を与える事はできない」
「ねぇ…大ちゃん……俺が死んで生まれ変わったら、俺を探せる？
俺を探してまた出会ってくれる？」
「その必要はあるまい。
生まれ変われば俺の事は忘れる。
記憶には何一つ残らない。
来世は来世で楽しんで生きればよい」
「そうするよ。
でも……それでも俺は皆に会いたいんだ。
翔ちゃんもニノも松潤もずっと生きてるんでしょ？
皆一緒にいるのに俺だけ除け者なんて嫌だよ。
大ちゃんが望むなら、人として生きて人として死ぬけど…また会いたいよ…皆に」
夜空に瞬く星を宿す瞳が流星の如く揺れながら智を真摯に見詰める。
「妖魔の王も雅紀には敵いませんか？」
横で仕返しとばかりに翔が冷やかす。
「そうだな……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
