１６ 天使の流儀 ページ16
太陽が地上に姿を現す瞬間……動き出す神の御使い。
「じゅーーん。
駄目だよ……連日、雅紀は襲わせない。
俺が相手をしてやるよ。
但し…俺より先にお前が１本取れれば引いてやろう、今日はな。
だが…俺が先に取れば剣での戦いは飽きた故、俺の…妖魔の最も得意とするそれに付き合って貰う。
……良いな」
暁の翼を持つ天使は訝し気に漆黒の王を見るが、負けぬとの無意味な自信故……静かに頷いた。
それを見て闇の王は妖しく艶やかに微笑んだ。
そして歌うが如く……
「では……来るが良い」
囁き、青白きその手で戦いへ誘う……その靱やかで妖しい手に誘われ暁の天使は明けの明星の如し白銀の剣を手に踊り出る。
それを受ける黒曜石の剣。
優しく受け止めたかもしれない。
星が散る程に激しく受け止めたかもしれない。
夜の王と暁の天使は剣を寄せ近付き剣越し見詰め合う。
「惜しいなぁ。
気に入ってたのに……俺に剣を向けるとは…」
『黙れ、貴様など知らぬ』
「知らない訳などない。
忘れているだけだ。
あれ程……愛し合ったと言うのに……つれないね」
合わさった剣を横に払い……できた隙に天使の艶やかな唇に自分のそれを重ねる。
記憶を封じられ生まれて直ぐの状態となった無垢な天使は驚き背後に飛び退き離れた。
僅かに頬を薄紅色に染めて……
「おやおや……初心だねぇ。
あんなに教えてやったのに……全部忘れたんだな。
いいよ、また１から全部教えてやるから」
楽し気に笑い天使を追う。
天使が動揺したのは一瞬。
それを打ち消すように激しい程に切り付ける。
「焦るな……焦れば直ぐに大振りになる。
それは変わらないね。
記憶は消えても体に染み付いた物は消えないな」
合わさる剣はまるで曲を奏でるように澄んで軽快な音を鳴らす。
夜明け過ぎの空を優雅にまるで舞を舞うように剣を合わせる２人。
「さて…もう良いな。
おまえの流儀には付き合った。
後は俺の番だ……」
言うなり智は舞う如く剣を下から上に振り上げ軽々と天使の白銀の剣を弾き飛ばした。
そして…己が黒曜石の剣で彼の胸を穿いた。
直ぐに引き抜きはしたが……
「俺の勝ちだ……約束は守って貰う。
どうせ傷は直ぐに癒えるだろ」
『……何故』
「負ける筈はなかった……とでも言うか？
悪いが…天使と剣を合わせるのは、おまえが初めてではない。
それに本気で剣を合わせられる者など出会った事はないが、妖魔の習いとして……王として最強であらねばならんからな」
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
