78話 ページ28
ガチャ
ただいまと小声で言いながら自分の部屋のドアを開ければ、ふぅと溜息を吐き中は入る。
『…なんで恵が私の部屋で寝てんの』
荷物を置こうと中に進めば、自分のベッドで寝ている伏黒の姿が目に入る。
そのまま荷物を置き手洗いとうがいを済ませると、突然背中が重くなった。
伏「遅い」
『重い』
伏「遅い」
『寝てなかったの?』
伏「Aが帰ってきて起きた。遅い」
伏黒はAの腰に後ろから手を回しギュッと力を入れた。
『遅いって言われても…それより離れて』
伏「離れて欲しいなら、付き合って」
『でた、またその言葉』
伏黒の付き合ってと言う言葉に、戸塚から言われた言葉が脳裏に浮かぶ。
『恵はさ、どう言う気持ちでその言葉を言ってるの?』
伏「は?」
Aは知らなかった。戸塚はあんなにも顔を赤らめながらその言葉を伝えてくれたのに、顔色ひとつ変えず戸塚と同じことを言う伏黒の気持ちを。
伏黒はAの肩を掴み自分と向き合わせると、そのまま言葉を続けた。
伏「戸塚さんに、何か言われたのか?」
『……と、、じ、こと』
伏「聞こえねぇ」
『恵と同じ事』
恵と同じ事を言われたと言うAは、目を下に逸らし頬を赤く染めている。
普段同じ事を言っても、伏黒に見せたことの無い表情を見て、ドス黒くモヤモヤとした感情が芽生え始めた。
伏「で?返事はどーしたんだ…」
『今すぐ返事はしないでって言われて、そのまま…』
Aはその時のことを思い出すと、無意識に唇を指先で触れていた。
伏「……キス、されたのか」
伏黒の思わぬ一言にビクッと肩を振るわせるが、Aは何も言葉を発さない。
伏「無言は肯定と取るが…」
コクッとAが頷いた瞬間。伏黒はAの手首を引っ張り、ベットに投げ倒した。そのままAに跨がれば手を取りベットに縫いつけた。
『め、恵?』
伏「行かせなきゃよかった」
『え…?』
伏「消毒…するから」
『し、消毒って…な……んっ!』
Aが混乱する中、伏黒は容赦なくその口を塞ぐ。驚きの余り思考が停止し貪られる唇の感覚だけが脳内を刺激した。
暫くして口内にヌルッとした塊が割って入ってくる。まだ体験したことがない感覚に、一気に脳が覚醒する。
『…ん、、、めぐ、み…や……て
やめ…て!!』
力の限り押し返しては体を起こし伏黒から距離を取る。
伏「…悪い」
『……恵が、わかんない』
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作者名:かえさ | 作成日時:2021年1月9日 0時