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「待ってじゃなくて引き止めなよ
そこらの酔っ払いなんて放置して
Aちゃんと一緒にいなよ
彼女放置とかなんなの？
寂しがってるの見てたらわかるでしょ？
バカなの？マジで」
矢継ぎ早に言った私を睨みつけ
掴んだ手を振りほどいた
「Aが嫌がるんや
友達を大切にしろって
俺かて…何も考えてないわけちゃうわ」
「だからって」
「俺は」
玄関ドアを真っ直ぐ見つめながら
大きく息を吸った
「俺は出来る事をしたいんや
病気治すことなんて出来ん
結婚することも出来ん
どっか連れてく事も
しんどい時に側に居ることすら
今の俺には出来ひんねん！
だからせめて…
Aの思いを汲み取りたい」
真剣に話す照史の気持ちは
分かるけど分からない
分かりたくもない
「想像以上に…不器用なんだね」
「うるっさい ほっとけや」
「もっと言いたい事言えばいいのに
一緒に居たいって」
「自分の存在が俺を苦しめてるって
思い込んでる」
真剣なその表情は
別れようとしてる事
気付いてる気がする
「俺の笑顔が好きやって
笑っとって欲しいって
いつも言うてんねん
俺が出来るのは
楽しそうな姿見せることだけや」
そう言ってリビングへ向かう
「ホンット照史ってバカだね
さっき泣いてたの知ってるでしょ？
泣いてる彼女くらい慰めに来なよ！」
ゲストルームへ向かった時
照史と一瞬だけど目が合った
気付いてる癖に
様子見にも来なかった
「一緒に居たいなら
そう言えばいいじゃん！
言わなきゃ考えてないのと同じだよ？！」
私の言葉でピタリと足を止める
「俺には泣いてる理由は話さん…絶対に
愚痴れる相手が居るときは
吐き出したほうがええやんけ」
「側に居るだけでも違うじゃん
泣きたいときに抱きしめて貰うだけで
どんだけ安心すると思ってんの？」
「…」
「愛されてるの自覚しろって言ってるのに
なんでAちゃんと過ごそうとしないの？！」
声を荒げる私に
ハァとため息をついた後
静かに言葉を続けた
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
