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「Aー！！」と大声で呼びながら
リビングへ向うと
泣きはらした彼女が
驚いた顔してソファから立ち上がった
「30分しか時間ないけど
流星が調整してくれてん」
泣きながら飛びつく彼女
可愛くて可愛くてたまらん
何かあったのは明白やけど
30分しか無い時間をどう使うか
タクシーで必死に考えた
結果
問いただすのは辞めた
「酔っ払って会いたくなったな？w」
茶化しながら抱きしめて
会いたかったねって
寂しかったんか？って
そんな時間を過ごそうと思っていたのに
腕の中の彼女は
呼吸が荒れるほどに泣きはらしている
その上
まだ夕方の時間帯なのに
尋常じゃないアルコールの匂い
泣く理由はいくらでもある
「1人にしてもて、ゴメンな
しんどいよな」
そう言って背中を撫でると
「照史ぉ…ｯ…ヤダよぉ！ヤダ…よぉ
なんで…もう…
照史大好きだよぉ…」と叫ぶ
「俺も大好きやで
ホンマに
会いたかったわー」
「嫌だ…怖い…怖いよ…
どうしたら…だってまだ…」
支離滅裂
混乱してやけ酒でもしたんか？
相当酔っ払ってる
こりゃ明日、覚えてないやろな
少し体を離して頬を包みながら
「A？Aーー？
なんか嫌なことでもあった？
寂しくなって会いに来たんか？」
と顔を覗き込みながら
軽い質問のように聞いてみる
と
俺から視線を外しながら呟いた
「私、なんかしたのかな
あきとが…ｯ好きなだけなのに
幸せで居てほしいだけなのに
少しでも長く…」
ダメだ、会話にならない
とりあえず気持ちが落ち着くまで
抱きしめることにした
・
泣き声が収まった所で
もう一度顔を覗き込む
涙でぐしゃぐしゃの頬をそっと拭い
笑顔を作る
「何かあったんかー？
珍しいな、突然来るなんて
めっちゃ嬉しいわ」
「聞き出してこい」という
淳太君の声が頭に響く
「何にもないよ
どうしても会いたかっただけ」
相変わらず視線を床に落として呟く
そんな訳…ないやんけ
一度も目を合わさない
一度も笑わない
全てを笑顔で隠す彼女が
何一つ隠せていない
混乱して支離滅裂な状態から出る
ただただマイナスな言葉に
ひたすら俺は不安になる
出発まで、後10分
このまま帰していいわけがない
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作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
