441. ページ19
歯磨きをして戻ってきた彼女は
既にホワホワと眠そうな顔
そもそもベロベロに酔っ払ってるんやったw
部屋の電気を落として
ベッドに潜り込んだ彼女に
首の下まで布団を掛ける
「もうねむいから…すぐだよ…」
ベッドサイドに座って
髪を撫でるとふわりと笑う
「時間掛かってもええよ
なんか話そか？
何も言わんほうがええか？」
「…お父さんみたいw」
「世話の焼ける娘やなw
なんや、絵本読んで欲しいんか？」
「100万回生きたねこがいい」
「泣いて読まれへんから却下」
そんなやり取りでクスクスと笑った後
「側に居てくれるだけで…十分だよ」
と呟いた
寂しいって白状したくせに
甘えん坊で寂しがりやのくせに
変な気ぃ使いよって
「眠れないんか？最近」
「眠れるけど…
こわい夢を見て目がさめる
夜中になんどもなんども」
「…そうか」
「あの薬飲んだら
怖い夢見なかったから…」
「もうあんな飲み方せんって約束な
寂しかったら、俺とか流星に連絡してこい」
「ん…わかった」
今にも閉じてしまいそうな目
「寝てええよ」
「…淳太くん帰っちゃう？」
上目遣いで不安気に俺を見る彼女
いつからか
こうやって彼女が無自覚に甘えてくると
俺の中にとある感情が沸く
このまま腕の中に閉じ込めて
俺だけのものにしたい
そんな事をしても誰も得しない
俺でさえも
2人にはホンマに
幸せになって欲しいはずやのに
なんやねん…俺
自分の感情に呆れてため息をつくと
彼女がムクリと起き上がった
眠そうな顔のまま俺の隣に座り
パジャマのポケットからナニカを取り出すと
ギュッと抱きしめて
「淳太くんを守ってね」と呟いてから
俺に手渡してきた
それは
俺に模した、あのぬいぐるみやった
「あげないなんて言ってゴメンね」
いや、謝らなアカンのは俺やん
驚いてるからか
言い過ぎた後悔なのか
言葉が出てこない
「忙しくて疲れてるのに
心配かけて
ワガママばっかり言って
ゴメンね…」
さみしげな声に視線を上げると
彼女は緩く笑い
「もう大丈夫、本当にありがと
おやすみなさい」
と言って俺に背を向けて
頭まで掛け布団に潜り込んだ
さっきまでの甘えたモードから
急にどうしたんかと思ったけど
そうか
俺がため息ついたからや
ゴメンね
ゴメンねって
お前が悪い事なんて何もないって
何度も何度も言うてるのに
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
