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「どうです、美味しいでしょ」
「悪くない」
雲雀の言葉にAは嬉しそうに足をぱたぱたさせる。
イベントごとになると浮かれるという一面を知った雲雀が表情こそ変えないものの、いつもより饒舌であることにテントの外にいた風紀委員は密かに思う。
「委員長、少々問題が……」
テントの外から草壁の声がした雲雀はそちらの方に目をやる。Aはまだ食事中であった。一口が小さいため、必然的に食べるのが遅くなってしまうのだ。
「……僕の許可なく勝手に出ないでね」
「えー、棒倒しみんなと応援したかったんですけど」
「ここで観戦したらいい」
「はあい」
食事を再開したのを見てから雲雀はテントを出る。
話の内容は、B・C組の総大将がA組の総大将に襲われて倒れ、食中毒で何名かの生徒が倒れたという報告であった。
「A組の総大将って誰?」
その質問に草壁は総大将がツナであることを報告する。その名前に雲雀がピクリと反応した。
「赤ん坊かな」
裏で赤ん坊、もといリボーンが操っていると感じた雲雀はグラウンドへと向かうことにした。
「雲雀せんぱーい」
間の抜けた声に雲雀が反射的に振り返る。出るなといったのに……そう思ったが、Aは出ているわけではなく、ひょこりと顔を外に覗かせているだけだった。
「なに?」
「応援してていいですか?」
「……いいよ」
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時